内科診療について


医師ご紹介

 2024年4月より内科診療を担当しております。医師15年目となり小学校、中学校と過ごした津山に戻ってきました。

 これまでは循環器内科医として心不全、狭心症・心筋梗塞、不整脈などに携わってきました。超高齢化社会となり心不全を中心に患者数は増えていると言われており、実際にこれまでの診療でその増加を感じておりました。

 これらの病気の発症・再発予防には高血圧症・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群の治療が重要であり力を入れてきました。これまでの経験をいかして循環器疾患の発症を予防し皆さまの健康を長く維持し、また発症された場合も専門病院などと連携をとりながらよりよい生活を送れるようにつとめていきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

●経歴

2010年3月  岡山大学医学部医学科 卒業
2010年4月  名古屋医療センター 初期研修医
2012年4月  名古屋医療センター 循環器内科後期研修医
2015年4月  三豊総合病院 内科
2019年4月  岡山大学病院 循環器内科
2022年4月  川崎医科大学総合医療センター 内科

●資格

日本内科学会認定医
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会専門医
医学博士

医師写真

内科
・高血圧症 ・糖尿病
・脂質異常症・高脂血症 ・睡眠時無呼吸症候群
・アレルギー性鼻炎・花粉症 ・帯状疱疹
・インフルエンザ ・熱中症
循環器内科
・心臓、心臓病 ・弁膜症
・狭心症・心筋梗塞 ・心房細動
・期外収縮 ・心電図・ホルター心電図
・BNP


 高血圧症

高血圧について

血圧とは?

 血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力を指します。この数値は血液の量、血管の硬さ、心臓の力によって変わります。血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化が進行します。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気のリスクが増加します。

高血圧とは?

 診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。特に年齢が上がると高血圧の割合が増え、75歳以上の多くの方が高血圧に該当します。日本では約4300万人が高血圧と推定され、そのうち適切に治療を受けている方は少ない状況です。

高血圧が引き起こすリスク

 高血圧は脳卒中や心筋梗塞の主要な原因であり、腎臓病や認知症のリスクを高めます。また、症状がない場合でも血管や臓器にダメージが進行していることがあるため、早めの診断と治療が欠かせません。

血圧を測る方法

 血圧測定には「診察室で測る方法」と「家庭で測る方法」があります。特に家庭血圧は日々の変化を把握するのに適しており、診察室でだけ高くなる「白衣高血圧」や家庭だけで高くなる「仮面高血圧」の発見にも役立ちます。
 測定時は、静かでリラックスできる環境を整えましょう。朝起床後と夜寝る前の測定が基本ですが、生活に応じて測定するタイミングを調整してください。

血圧を下げるには?

 高血圧の予防・改善には生活習慣の見直しが重要です:

 ・減塩:1日6g未満を目標にしましょう。外食や加工食品の塩分に注意してください。

 ・運動:軽いウォーキングやストレッチを無理のない範囲で続けることで効果が期待できます。

 ・体重管理:体重を1kg減らすと、血圧が約1.1mmHg下がるとされています。

 ・節酒・禁煙:飲酒は適量を守り、タバコは血管に大きな負担をかけるため禁煙を心がけましょう。

 生活改善でも効果が不十分な場合には降圧薬の使用を検討します。
血圧の目標は、糖尿病や脳卒中がない75歳以上の方では家庭血圧が135/85mmHg未満、それ以外の方は125/75mmHg未満を目指します。詳しい目標値は、診察や検査の結果に応じて決めていきます。

最後に

 高血圧は放置すると深刻な病気につながる可能性がありますが、適切に対処すればリスクを大幅に下げることができます。家庭で測った血圧の記録を持参して医療機関を受診することで、より的確な治療が可能になります。血圧をしっかり管理し、健康な生活を送りましょう。

参考 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:「高血圧治療ガイドライン 2019」ライフサイエンス出版

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 糖尿病

糖尿病について

糖尿病とは?

 糖尿病は、インスリンが十分に働かなくなり血糖値が高い状態が続く病気です。血糖値やHbA1cから診断します。日本では「糖尿病が強く疑われる人」や「糖尿病の可能性が否定できない人」は約2,000万人いると推計されています。

糖尿病のリスクは?

 血糖値が高い状態が続くと、全身の血管に負担がかかり、網膜症、腎症、神経障害、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高くなります。また、がん、感染症、歯周病、骨折、認知症、筋力低下のリスクも上昇する可能性があります。これらが重なると生活の質(QOL)の低下や寿命に影響を与えることがあります。

糖尿病治療の目標は?

 糖尿病治療の目標は、合併症を防ぎ、健康な人と同じ生活の質(QOL)と寿命を目指すことです。血糖を正常に近づけると血管障害のリスクが減るとされ、特に発症初期からのコントロールが重要です。低血糖への配慮も必要であり、年齢、これまでの病気、使用している薬剤など総合的に判断して、HbA1cを指標に治療目標を設定することが多いです。

HbA1cって?

 糖尿病の診断や治療目標の設定に使われる指標の1つがHbA1cです。血液中で酸素を運ぶヘモグロビン(Hb)に糖が結びついたものをHbA1cと呼びます。これにより過去1〜2か月間の血糖値の状態を把握できます。

血糖を下げるには?

 治療の基本は食事療法と運動療法です。必要に応じて薬物治療を行います。

 ・減量: 内臓脂肪型肥満ではインスリンの働きが低下するため、カロリー摂取を控えて体重を減らしましょう。

 ・炭水化物制限: 炭水化物を適度に減らします。主治医と相談しながら短期間で取り組むことを勧めます。

 ・低GI食品の選択: 玄米や全粒粉のパン、リンゴなどを取り入れましょう。

 ・運動療法: 週150分程度の有酸素運動を無理なく続けることが重要です。

他に注意すべきことは?

 ・胸が突然痛くなる、手足が動かなくなる、呂律が回らなくなるなどあれば、すぐに医療機関を受診してください。

 ・網膜症や歯周病の評価・治療のために眼科や歯科の定期的な受診をおすすめします。

 ・足の傷が治りにくくなることがあります。足の保護や傷ができた場合は早期受診を心がけましょう。

 ・糖尿病は母児の健康にも影響します。妊娠を考えている方は、治療を徹底しましょう。

最後に

 糖尿病は早期治療が重要です。健診で糖尿病が疑われた際には、早めに受診してください。

参考  日本糖尿病学会 編・著 糖尿病診療ガイドライン2024 南江堂 2024
    日本老年医学会、日本糖尿病学会 編・著 高齢者糖尿病診療ガイドライン2023 南江堂 2023

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 脂質異常症

脂質異常症について

脂質異常症とは?

 脂質異常症は、血液中の「コレステロール」や「中性脂肪」が多すぎたり、少なすぎたりする状態を指します。
 脂質異常症の主なタイプ:

 ・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い

 ・HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い

 ・中性脂肪が高い

 脂質異常は心筋梗塞や脳梗塞の原因となることがあります。遺伝、食生活、運動不足、肥満などが関係しています。

コレステロールと中性脂肪の役割

 コレステロールは、細胞の材料やホルモンの生成に関与する、体にとって大切な物質です。

 ・LDLコレステロール:体の各部にコレステロールを運び、増えすぎると血管に蓄積し、動脈硬化を起こします。

 ・HDLコレステロール:体内の余分なコレステロールを肝臓に戻し、動脈硬化を防ぎます。

 ・中性脂肪:多いとLDLコレステロールの質が悪化し、HDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進します。

脂質異常症の治療目標は?

 以下のように脂質をコントロールすることで心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳梗塞のリスクの軽減をはかります。

 ・HDLコレステロール: 40 mg/dL以上

 ・中性脂肪: 150 mg/dL未満

 ・LDLコレステロール: 冠動脈疾患や脳梗塞がない場合:100〜160 mg/dL未満
             冠動脈疾患や脳梗塞がある場合:70〜100 mg/dL未満

コレステロールや中性脂肪を下げるには?

 ・食事療法:適切なカロリーを守り、動物性脂肪や加工品を控え、魚や大豆を多く摂取しましょう。

 ・運動療法:週3回以上、軽く息が上がる程度の有酸素運動を30分以上行うことが理想的です。

 ・禁煙:喫煙はHDLコレステロールを減少させるため、禁煙が望まれます。

 すでに心筋梗塞を経験された方は、早期の薬物治療を積極的に検討します。

家族性高コレステロール血症って?

 遺伝的にLDLコレステロールが高い「家族性高コレステロール血症」という病気があります。動脈硬化の進行が速く、早期診断と治療が重要です。若いころから高いコレステロール値を指摘されている場合は、積極的に病院を受診しましょう。

最後に

 コレステロールや中性脂肪は大事な栄養素ですが、多すぎると健康に悪影響を及ぼします。健康診断などで異常があれば、病院を受診して治療について相談していきましょう。

参考 日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版. 日本動脈硬化学会, 2023

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 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

睡眠時無呼吸症候群って?

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、睡眠中に呼吸が止まる病気です。SASは成人の約5〜10%に見られ、中年以降で特に増加します。以下のような疾患のリスクとなるとされています。

  • 脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)
  • 大動脈疾患(大動脈瘤や大動脈解離)
  • 心房細動
  • 高血圧や糖尿病

どのような方が特に注意が必要?

  1. 症状などから無呼吸が疑われる方
    • いびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたことがある方
    • 肥満傾向(BMI25以上)の方、特に首回りが太い方
    • 家族にSASの方がいる場合
    • 日中の強い眠気や集中力の低下を感じる方
  2. 無呼吸が関連する疾患をお持ちの方
    • 高血圧や糖尿病を指摘された方
    • 脳卒中の既往がある方
    • 心不全、不整脈、狭心症などの心臓病をお持ちの方
    • 大動脈瘤や大動脈解離のリスクがある方
  3. 職業への影響が懸念される方
    • 長距離運転や夜勤が多い方(眠気による事故のリスク)

どうやって評価する?

当院では検査会社に依頼し、ご自宅で行える「簡易検査」を行っています。睡眠中の呼吸状態や血中酸素濃度を測定し、SASの有無をスクリーニングできます。簡易検査のみでは評価困難な場合は精密検査を専門病院に依頼します。

治療法について

  • 生活習慣の改善:適正体重の維持、禁煙など
  • CPAP療法:睡眠中の気道を確保するマスク
  • 口腔内装置(マウスピース):軽症例やCPAPを継続できない場合に検討します

最後に

はじめは「いびき」のみで特に日常生活に支障はないようにみえることもありますが、放置することで脳卒中や不整脈、大動脈解離などの重篤な病気の原因となることがあります。疑わしいときは積極的に検査を行っていきましょう。

参考:日本循環器学会.2023年改訂版循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.

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 アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎・花粉症について

アレルギー性鼻炎・花粉症とは?

鼻の粘膜がアレルギー反応を起こし、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが繰り返し起こる病気です。症状が1年中続く「通年性」と、特定の季節に悪化する「季節性」があり、通年性の主な原因はダニやハウスダスト、季節性の主な原因は花粉です。

花粉症ってよく聞くけど?

ダニや花粉が原因となるアレルギー性鼻炎は、年々増えています。これは、植林されたスギの花粉の飛散量が増えたことや、住宅の気密性が向上しダニが繁殖しやすくなったことが影響していると考えられています。2019年の調査では、10〜59歳の方の45%以上がスギ花粉症、30%前後が通年性アレルギー性鼻炎を持っていると報告されています。

診断について

どんなときに症状が出るのか、鼻の粘膜の状態、鼻水や血液の検査を組み合わせて診断します。血液検査では、アレルギーの原因を特定することができ、特に免疫療法を行う際には重要になります。

治療について

まずは、アレルギーの原因となるスギやダニとの接触を減らすことが大切です。

【スギ花粉への対策】

  • 花粉情報をチェックする 岡山県の花粉飛散情報は こちら
  • マスクや眼鏡を着用し、ウールやフリース素材の服は避ける。
  • 帰宅時には衣服や髪を払い、洗顔・うがい・鼻をかむ。
  • 換気は短時間にし、花粉の多い日は洗濯物を外干ししない。

【ダニへの対策】

  • 換気をしながら床や布団に掃除機をかけ、布団は乾燥させる。
  • シーツ・カバー・カーテンはこまめに洗濯する。
  • 絨毯やカーペットを敷かず、布製のソファもできるだけ避ける。
  • エアコンのフィルターをこまめに掃除する。
  • 部屋の掃除をこまめに行い、特に窓際の掃除をしっかりする。
  • 空気清浄機を使用する。
  • 換気を行い、除湿機などで湿度を60%未満に保つ。

【薬物治療】

治療は主に飲み薬や点鼻薬を使用し、症状に合わせて使い分けます。花粉症の治療は、症状が出始める前から早めに開始することが重要です。特に点鼻薬は、症状が出る前から使うことで、ピーク時の症状を軽くできるとされています。

【舌下免疫療法】

アレルギーの原因となる物質を少しずつ体に慣れさせる治療法です。年単位で継続することで、薬を使わずに症状をコントロールできる可能性があります。ただし、重篤なアレルギー反応を起こすことがあるため注意が必要です。

最後に

アレルギー性鼻炎・花粉症はとても身近な病気ですが、ひどくなると睡眠の質が悪くなったり、口呼吸になりやすくなるため、日常生活に影響が出ることもあります。まずは、アレルギーの原因との接触を避けることが大切ですが、それでも症状がつらい場合は、早めに薬物治療を検討しましょう。

参考:
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会、鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編:
「鼻アレルギー診療ガイドライン −通年性鼻炎と花粉症− 2024年版 改定第10版」 金原出版株式会社

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 帯状疱疹

帯状疱疹って?

帯状疱疹は、体内に潜んでいる水ぼうそう(水痘)ウイルスが活発になり、痛みや水ぶくれを引き起こす病気です。

実は、20歳以上の方の約95%は、すでに水ぼうそうウイルスに感染したことがあり、体内にウイルスが潜んでいるとされています。年齢を重ねると、疲れやストレスで免疫力が低下しやすくなり、帯状疱疹を発症するリスクが高まります。一般成人の20〜30%が生涯のうちに発症するとされており身近な病気です。

どんな症状が出るの?

主な症状はピリピリとした痛みと水ぶくれです。痛みが先で数日後に水ぶくれが出てくることもあります。このウイルスは神経に潜んでいるので神経に沿って症状が現れます。神経は左右で分かれているので通常は片側にだけ症状が出ます。

水ぶくれは7日から10日ほどで治まることが多いですが、痛みは2週間ほど続きます。2週間以上痛みが続く場合があり、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれます。高齢の方ではこのリスクが高まります。

また、発症する神経によっては注意が必要です。意識がもうろうとしたり、けいれんを起こす場合、目や耳の周りに症状が出た場合は、すぐに専門医の診察を受けましょう。

治療方法について

治療には抗ウイルス薬が使われます。早く使うことで症状を和らげるだけでなく、帯状疱疹後神経痛を防ぐことにもつながります。水ぶくれが出てから 72時間以内 に使うのが望ましいとされています。

「もしかして帯状疱疹かも?」と思ったら、なるべく早めに病院を受診しましょう。また、薬の処方には腎臓の状態などが関係するため、過去の血液検査の結果があれば持参するとよいでしょう。

気をつけること

ほかの人にうつる可能性は低いですが、水ぶくれがかさぶたになるまでは、ガーゼなどで覆い、触れないようにしましょう。

まだ水ぼうそうにかかったことがない方で水ぼうそうワクチンを受けていない方が触れると、水ぼうそうを発症することがあります。この場合、3日〜5日以内にワクチンを接種することで、水ぼうそうの発症を防げる可能性があります。妊婦さんや赤ちゃん、免疫が弱っている方(がん治療中の方、HIVの方など)には感染を広げないよう注意しましょう。

予防とワクチンについて

帯状疱疹を予防するワクチンには、

  • 弱毒化水痘生ワクチン
  • 組換え帯状疱疹ワクチン

の2種類があります。どちらも高齢の方での帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防に役立ちます。特に 組換え帯状疱疹ワクチン は2回の接種が必要ですが、10年後も70%の予防効果が続く とされています。帯状疱疹を予防したい方は、ぜひワクチン接種をご検討ください。

最後に

最近では、特に高齢の方で帯状疱疹の患者さんが増えてきています。神経痛が残ると 日常生活にも影響が出る ため、予防接種を受けることが大切です。また、もし発症してしまった場合は できるだけ早めに治療を始めることが重要 です。気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。

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 インフルエンザ

インフルエンザとワクチンについて

● インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症です。感染すると、38度台の発熱と共に頭痛、関節痛、筋肉痛が生じ、その後、鼻水や喉の痛み、咳が出ることがあります。通常、3〜4日で解熱し、その他の症状も徐々に改善しますが、咳は長引くこともあります。

● 診断について

インフルエンザの診断は、流行状況の把握と抗原検査によって行われます。抗原検査は10分前後で結果がえられ便利ですが、発症直後はウイルス量が十分でないため、陰性結果が出ることがあります。検査精度が高くなるのは、ウイルス量が増える発症から48時間頃とされています。そのため、陰性結果でも症状や周囲の感染状況を総合的に判断することが大切です。

● 治療について

インフルエンザの治療にはタミフルなどの抗ウイルス薬があり、発症から48時間以内に投与すると、症状の期間を約1日短縮することが期待できます。また、入院患者の調査では、抗ウイルス薬の使用により死亡率が低下する効果が確認されています。妊娠中の方や2歳未満の小児、基礎疾患のある高齢者や免疫力の低下している方など、重症化リスクが高い患者に対しては早期投与が推奨されます。

● インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンは、発症予防効果が約50〜60%とされています。年や流行するウイルス株によって効果は変動する可能性がありますが、接種により発症率が半減し、さらにかかった場合でも重症化や入院のリスクを減らす効果が期待できます。特に、小児や高齢者には重症化予防の観点から重要な予防策です。

予防効果は接種から2週間後に現れ、持続期間は5か月程度です。日本におけるインフルエンザの流行時期は年によって異なりますが、一般的には12月から3月頃が流行期です。手洗い、うがい、換気、マスクなど、感染対策をしつつ、流行前にワクチン接種を検討しましょう。

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 熱中症
熱中症を防ぐために

熱中症を防ぐために〜気温管理と脱水予防を徹底しましょう〜

暑い季節になると、体温調節がうまくいかなくなり、体内に熱がこもってしまう「熱中症」のリスクが高まります。命に関わる重篤な状態に至ることもあるため、気温・湿度の管理と脱水予防を徹底しましょう。特に高齢の方や小さなお子さん、持病のある方は注意しましょう。

【症状と重症度の目安】

  • T度(軽症):めまい、立ちくらみ、大量の汗、筋肉のけいれん(こむら返り)など。涼しい場所で休み、水分・塩分を補給することで回復することが多いです。
  • U度(中等症):頭痛、吐き気、だるさ、集中力の低下などが見られ、医療機関での治療が必要になることがあります。
  • V度(重症):意識障害、けいれん、高体温(体温が40℃以上)など、命に関わる状態です。すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

【気温管理 クーラーはためらわずに】

室温28℃前後・湿度60%以下を目安にエアコンを稼働させると、深部体温の上昇を防げます。外気温が高い日は日中だけでなく夜間も使用し、「自動」設定で風向を天井に向けると冷え過ぎを防止できます。また、環境省が発表する「熱中症警戒アラート」が出ている日は、外出を控えエアコンを積極的に利用してください。

【クーラー以外の冷却方法】

  • 扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
  • 遮光カーテン・すだれで室内への熱の侵入を抑える
  • 首・脇・足の付け根を冷却タオルや保冷剤で直接冷やす
  • 通気性の良い衣服や保冷ベスト、帽子や日傘を活用する

【脱水と塩分補給】

喉が渇く前からこまめに水分を取り、汗を多くかく場面では20〜30分ごとにコップ1杯(150〜200mL)を追加しましょう。飲料は0.1〜0.2%の食塩と糖分を含むスポーツドリンクや経口補水液が理想的です。日本人は食塩摂取が多いため、日常的な「追い塩」は不要で、とくに高血圧や腎疾患・心疾患のある方は過剰摂取を避けましょう。

【さいごに】

めまい・筋肉痛・頭痛などI度の症状でも、涼しい場所で休んでも改善しない場合や高齢者・小児・基礎疾患のある方は医療機関受診を検討しましょう。酷暑期は無理をせず、室内外での温度管理と適切な水分・塩分補給で、熱中症から身を守りましょう。

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