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NO. 331

オリンピック病

2024年8月

 今から60年前の1964年、第18回東京オリンピックが開催されました。その年から4年間ごとにマイコプラズマの流行があり、マイコプラズマ感染症はオリンピック病とも呼ばれました。

 1964年以降、1988年までは、オリンピック病の名称通りに4年間隔でマイコプラズマの流行がありましたが、以後、その4年毎の感染は途絶えていました。しかし、2012年に再度の流行があり、4年後の2016年も大きな流行がありました。次は、2020年の流行が予想されましたが、2019年年末からの新型コロナの世界的な流行と、感染症対策が徹底されたせいでしょうか流行はありませんでした。

 そして、2024年、パリオリンピックの今年です。マイコプラズマの爆発的な流行が起こっています。

 それでは、マイコプラズマについて

@ マイコプラズマ

 はじめは真菌(カビ)と思われていたようで、マイコ=きのこ、プラズマ=物で、「キノコの様な物」がマイコプラズマの語源の様です。

 実際には、マイコプラズマは、通常の細菌より小さく、ウイルスと細菌の中間的な性質を持つとされています。

A 症状

 潜伏期は2〜3週間と長くなっています。初期症状は、発熱・全身倦怠感・頭痛などですが、次第に、咳が強くなり、夜間の咳が強く眠れなくなり、胸痛もあります。高熱と咳が続けば肺炎になっている可能性があります。

 その他、皮疹・中耳炎・関節炎・髄膜炎・肝炎・膵炎・心筋炎などいろんな症状合併症があります。

B 診断

 血液検査がありますが、確定診断するには時間がかかり、外来では困難なことがあります。最近では、LAMP法と言って、コロナのPCR検査と類似した検査があります。院内で出来ない場合でも、1日で結果が出ます。一般の診療所では有用な検査です。

C 治療

 マイコプラズマに効く薬は限られています。マクロライド系、テトラサイクリン系とニューキノロン系です。マクロライド系が子どもでは第一選択ですが、効かない菌が増えており、困っています。テトラサイクリン系は効くのですが副作用があり8歳未満の子どもには使いにくくなっています。

D 経過

 多くの場合は、外来治療で軽快しますが、肺炎を起こしたり、他の合併症があると入院治療となります。

 まだまだ、感染は続くようです。早めの受診、早めの治療が重要かと思います。

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