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NO. 316

“突発性発疹症はどこから来たのか?”

2023年2月

 突発性発疹症は、

 突然、高熱が出現して3日前後持続したのちに、解熱とともに発疹が出現します。下痢を伴うことが多く、解熱後に少しぐずることはありますが、経過中は熱があっても一般的には機嫌は良好です。しかし、初日の熱の上りはじめに熱性けいれんを起こしたり、脳炎・脳症を合併することがあります。

  以前は、お母さんから胎内で受け継いだ免疫力が弱くなる、生後6か月頃から一歳までに発症することがほとんどでした。最近では、発症が高年齢化していると言われますが、2歳までには、ほぼ100%の子どもが罹っています。

  原因ウイルスは2つあります。HHV‐6BとHHV‐7です。HHVはHuman(人間)Herpes Virusであり人間を自然宿主とし、初感染後は体内に潜伏感染しています。私たち大人の体内にも突発性発疹のウイルスがいるのです。そして、宿主である人間の体力が低下(移植などで)した場合に再活性化することがあります。

  突発性発疹という、比較的派手な臨床経過を示すわりには、伝播に関しては不明なことが多くあります。

 感染すると、急性期より回復期に多くのウイルスが排泄され、12か月以上続くとされています。また、その後も断続的に唾液中にウイルスを排泄していています。3〜5歳の健康小児の唾液中のHHV‐6Bの検出率は50%との報告もあります。

  最近、双生児・三生児の突発性発疹症の発症間隔と感染経路を調査した研究があり、「発症間隔は44日前後で、家族内同胞からの感染が示唆された。」としています。

  新型コロナウイルス感染症が流行して、種々の感染対策が行われインフルエンザやRSウイルスなどの感染症は減少しましたが、突発性発疹症の発症率に変化はありませんでした。家庭内に感染源があることを示す結果です。

  突発性発疹症は、ほとんどの子どもが2歳までに罹り、高熱が出ても、数日で落ち着く病気であります。しかし、熱性けいれんで発症したり、意識が低下する脳炎・脳症を合併することがあります。特に、解熱後の発疹期に再度けいれんを起こした場合は、重症化することがあり要注意です。

 今回の“突発性発疹症はどこから来たのか?”は、“家庭内、特に同胞からの感染”が回答の様です。しかも、一ヶ月以上の間隔での発症です。集団生活での感染は少ないいようであります。「熱が下がって、食欲ももどって、元気になれば、発疹が残っていても登園できます。」です。

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