NO. 298 人生100年時代とメタボリックドミノ2021年7月 ある研究によれば、現在の日本の中学生の半数は、107歳まで生きるとされています。 政府も「人生100年時代構想会議」を設置して、人生100年時代に向けていろいろと議論しているようですから、人生100年は、根拠のない話しではないようです。 100年も生きるとなれば、大変です。長く生きていれば、環境や居住地の変化、転職もあるでしょう、人間関係も多彩となります。いろんな能力が必要となります。そして、予防できる病気には罹らないことも、人生100年では大切です。 「メタボリックドミノ」(伊藤裕:日本臨床、61、2003)という言葉があります。生活習慣病から、ドミノ倒しのようにいろんな病気になってしまい、最後のゴールが “透析・失明・下肢切断・脳卒中・認知症・心不全など” というものです。そして、ドミノ倒しの出発点は “肥満” ドミノです。 人生100年、長い人生、「メタボリックドミノ」のなかで、不幸なゴールへ突き進むのはぜひ避けたいものです。何としても、出発点の “肥満” ドミノは避けたいものです。 “メタボリックドミノ” 出発点である “肥満” を考えると、小児では “肥満” を終点とするドミノを考えなくてはなりません。 “肥満” への最初のドミノは、【お母さんのおなかの中の低体重と過体重】です。小さく生まれても、大きく生まれても肥満への入り口となります。妊婦さんの、やせすぎ・太りすぎは要注意です。若い女性のやせ願望も、子供の “肥満” ドミノの出発点になります。 次のドミノは【3歳での体重増加傾向】です。 子供の体型を表す指標にカウプ指数があります。体重(kg)÷身長(m)2で計算します。成人でのBMIと同じ計算方法です。「1歳半健診のカウプ指数より3歳健診でのカウプ指数が高くなっていたら」、肥満への入り口です。幼児で “ふつう” とされるカウプ指数は15〜17です。成人でBMIが15だったら、精密検査が必要になるほどの “やせ” です。 3歳から6歳は人生100年で最もやせている時期なのです。「骨と皮とすじ」しかないほどにやせていても、元気で遊べていればいいのです。「早寝早起き朝ごはん」をしていれば、“小鳥の餌” ほどしか食べていないようでも、必要なエネルギーは獲っていると思います。 子供たちは、人生100年時代を生き始めています。楽しく100年の旅をするには健康が大切であります。「メタボリックドミノ」に入らないようにしてあげるのが、大人の責任でしょうか。 |