NO. 277 ロタウイルスワクチンの定期接種化について2019年10月 ワクチンには、任意接種と定期接種があります。 任意接種は、多くの場合、接種料金は自費ですが、定期接種になると、行政から助成がでて、接種料金は無料となることが一般的です。 現在、日本では、ロタウイルスワクチンは任意接種ですが、世界の多くの国では定期接種となっています。日本でも、定期接種化に向けて検討されてきました。そして、先日(令和元年9月26日)の厚労省審議会で、定期接種化となることが、ほぼ決定されました。 これまで、日本でなかなか定期接種とならなかった理由の一つに、腸重積症の問題がありました。現在は使われていない、初代のロタウイルスワクチン(ロタシールド:1998年に開始、1999年に中止)の接種後に腸重積症の発症が増加した歴史があり、日本では、ロタワクチンの定期接種化に慎重になっていました。しかし、現在のロタウイルスワクチンの有効性と安全性を考慮して、日本も世界にならって定期接種化にすべきとなりました。 また、有効性の一つに「集団免疫効果」があります。ロタウイルスワンクチン導入後に、ロタウイルス胃腸炎による入院患者数の減少割合が、ワクチン接種に期待される減少効果を上回っていたのです。ワクチンを受けていない人にも予防効果があったということです。ロタウイルス腸炎の患者さんが減ることにより、ワクチンを受けていない人がロタウイルスに接触する機会が減ってロタウイルス腸炎が減ったのです。ロタウイルスワクチンは高価ですが、ロタウイルス腸炎のワクチンを受けていない人への効果も考えて、全体の医療費削減に貢献すると考えられています。間接効果とも言われますが、インフルエンザワクチンにも同様の効果があるとされています。 定期接種化の開始時期は、令和2年10月1日からです。そして、令和2年8月生まれ以降の赤ちゃんが対象で、生後2か月からです。 また、この審議会で、異なる予防接種の接種間隔に関して議論されたようです。 日本では、BCGや麻疹ワクチンなどの生ワクチンの後、同時接種でない限り、次の予防接種をするには、4週間の間隔が必要です。生後2か月からは、ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎などの予防接種が沢山あります。その中に、生ワクチンが入ってくると、今でも、ややこしいのに、予防接種間隔を考えるのが大変となります。アメリカ・カナダ・イギリスなどでは、接種間隔に制限はありません。日本も、来年からは、接種間隔の制限がなくなるかもしれません。 令和元年の10月は、消費税とラグビーワールドカップですが、令和2年の10月は予防接種が話題となっていると思います。 |