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NO. 276

授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)

2019年9月

 外来で、離乳食の開始時期に関して質問されることがありますが、
「大人が食べているところをじっと見ていたり、食べたそうな顔をしていたら、始めてもいいんじゃないですか。」と言ってきましたが、どうも曖昧な回答でした。

 今年(2019年)3月に、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」が厚生労働省から公表されました。具体的で、分かりやすく、読んでいると楽しくなる文章の説明でしたので、紹介いたします。

 【離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時をいう。開始時期の子どもの発達状況の目安としては、首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)、食べ物に興味を示すことなどがあげられる。その時期は生後5〜6か月頃が適当である。ただし、子どもの発育及び発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安であり、子どもの様子をよく観察しながら、親が子どもの「食べたがっているサイン」に気がつくように進められる支援が重要である。

 なお、離乳の開始前の子どもにとって、最適な栄養源は乳汁(母乳又は育児用ミルク)であり、離乳の開始前に果汁やイオン飲料を与えることの栄養的な意義は認められていない。また、蜂蜜は、乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるために、1歳を過ぎるまでは与えない。】

 また、哺乳反射とは
 【原始反射であり、生まれた時から備え持つ乳首を取り込むための不随意運動で、大脳の発達とともに減少し、生後5〜7か月頃に消失する。】とあります。

 原始反射とは、赤ちゃんが生きるために、生直後からみられる反射で、お乳を飲むための反射や、お母さんに抱きつく反射(モロー反射)などがあります。

 また、果汁やイオン飲料水は与える必要がないこと、とくにイオン飲料水をたくさん飲むとビタミン不足になることが説明されています。基本的には、授乳期及び離乳期を通してイオン飲料水は必要ないと書かれています。

 蜂蜜に関して、ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の加熱や調理では死にません。1歳未満の赤ちゃんにはハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品は与えないようにしましょう、とあります。

 【生活のリズムを意識し、・・・・家族等と食卓を囲み、共に食事をとりながら食べる楽しさの体験を増やしていく・・・】と書かれています。

 まずは、無理をせず楽しく食べることでしょうか。

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