NO. 256 DOHaD説 平成30年1月 明けましておめでとうございます。今年は、安産のお守りでもよく使われる“戌”の年です。今回は、おなかの中の赤ちゃんの事です。 「今日も元気で(254)」の“成人の肥満予防には3歳のBMI”で、3歳時のBMIが1歳6カ月時のBMIより大きくなっていると、成人での肥満となる傾向があると書きましたが、 成人病は “ お母さんのおなかの中で始まる ” です。 DOHaDとは、Developmental(発育上の)Origins(起原)Health(健)andDisease(病気)の略です。「健康や特定の病気へのかかりやすさは、おなかの中や、生後の乳児期の環境の影響を受けて多くが決定される」という説です。 具体的には、受精から1000日間での望ましくない栄養やストレスなどの環境が遺伝子に作用して、病気の素因が形成される。さらに、遺伝子への作用ですから、赤ちゃんの赤ちゃんにも影響してきます。 日本では、赤ちゃんの生まれた時の体重が減少し続けています。 生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児と呼びます。1951年には、低出生体重児は7.3%でした。1970年代には、5.1%まで低下しましたが、2003年に、2倍近くの9.6%まで増加しました。この頻度は先進国のなかでも著しく高くなっています。「日本では、お腹の中の赤ちゃんの栄養が悪い」のではと心配されます。 津山ではもっと厳しい状況です。平成27年度は10.3%でした。子どもたちの将来を考えると、なんとかしないといけない数字です。 原因にはいろいろあるでしょうが、津山では20歳代女性の “ やせ ” が気になります。平成28年度では、20歳代の女性の34%が “ やせ ” との報告があります。 若い女性には “ やせ ” 願望があるでしょうが、特に妊娠中の栄養は、健康な赤ちゃん誕生、そして赤ちゃんの将来にとって非常に重要です。「小さく産んで大きく育てる」ではダメなのです。昔は、お腹の中の赤ちゃんのために2人分を食べなさいとの話もあります。 “ つわり ” で辛い時期もあると思いますが、妊娠中の体重管理は重要です。産婦人科の医師の指示に従い、十分な栄養を摂ってください。 DOHaD説は今後の医療では中心的な考え方として位置づけられるとされています。成人病の予防が、お腹の中の赤ちゃんから始まっているのです。 戌年です。元気で丸々とした赤ちゃんの誕生を願いたいと思います。 |