NO. 237 熱性けいれん 平成28年5月 目の前で、熱性けいれんを起こされると、このまま青くなって死んでしまうのではないかと思い、気は動転、さらに、何度も起こすと頭に障害が残るのではないかと心配になります。とにかく、熱性けいれんだけは、2度と起こってほしくないと願うものです。 今回は、2015年に作成された「熱性けいれん診療ガイドライン2015」の一部を紹介いたします。日本小児神経学会が発刊したもので、日本では1996年にガイドラインが出ていましたが、18年が経過していました。 まず、単純型熱性けいれんでの死亡例の報告はありません。 そして、単純型熱性けいれんを繰り返しても、知的能力に影響はないとされています。単純型熱性けいれんですが、@けいれんが全身で起り、左右とも同じようにけいれんしている、Aけいれんの長さが15分未満である、B24時間以内に反復してけいれんを起こしていない、の@ABの条件がそろっている熱性けいれんを単純型熱性けいれんと言います。 例えば、1回だけで2分間の短い熱性けいれんでも、片腕だけがけいれんしている場合は単純性ではなくて、複雑型熱性けいれんとして考えなくてはなりません。そして、複雑型熱性けいれんでは、てんかんを発症する率が高いとされています。 さて、2回目の熱性けいれんが起る確率ですが、@両親いずれかが熱性けいれんを起こしたことがある、A1歳未満の発症、B発熱から概ね1時間以内でのけいれん、C発作時の体温が39度以下、の@ABCの再発予測因子のどれかがあると再発率は2倍になります。どれもないと再発率は15%、どれかがあると30%になります。 熱性けいれんの予防には、ジアゼパム(ダイアップ座薬)が使用されています。再発の予防効果は高いとされていますが、副作用もあり、安易には使用しないようにと、今回のガイドラインでは強調しています。 複雑型熱性けいれんの場合には、予防投与が必要ですが、単純型で、再発予測因子がない場合には、副作用のことを考えると、予防投与はなしです。 2度と見たくない熱性けいれん、予防効果があるクスリ、しかし、安易にはクスリを投与しないでください。・・ですが、難しくて、困った選択です。毎回、「クスリ、どうしましょうか?」・・と相談になると思います。 |