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NO. 236

水ではうつらない「水いぼ」

平成28年4月

 新入園、新入学のみなさん、おめでとうございます。特に、小学一年生になる皆さんは、気持ちワクワクで、ワンドセルを背負って登校する日を待ち望んでいると思いますが、くれぐれも交通事故には気を付け下さい。お兄さん、お姉さんの後ろを歩いて、学校に行ってください。

 そして、小児科の医師にとっては、毎年悩まされる“「水いぼ」取る・取らない”の季節です。 「水いぼ」はポックスウイルスというウイルス感染症です。接触感染で子供たちの間で拡がります。特に、乾燥した皮膚や、アトピー性皮膚炎の皮膚はうつりやすくなっています。

 「水いぼ」の名前が悪いのか、プールなどの水でうつるのではと思われていますが、水ではうつりません。「水いぼ」のある子どもの皮膚からプールの水の中にウイルスが泳ぎだして、ほかの子どもの皮膚に到着するのではないのです。

 あくまで接触感染ですから、皮膚と皮膚との接触や、ビート板、浮き輪やタオルなどでうつります。そして、これからは、薄着の季節ですから、仲の良い子供たちが遊んでいれば、皮膚と皮膚の接触は多くなります。水の中より、陸の上での接触回数がずっと多いと思いますから、“「水いぼ」があるからプールはだめ”とは、ならないでいただきたいものです。

 でも、大きな「水いぼ」が手足に沢山でも困ります。また、「水いぼ」は自然に治るとされていますが、かゆみが強く掻いているとさらに「水いぼ」が増えたり、「水いぼ」のところに細菌感染がおこることもあります。

 「水いぼ」の治療は、ピンセットで「水いぼ」ウイルスの芯の摘除です。痛くなければ、いくらでも取ります。しかし、直接取れば痛みがありますから、子どもを押し付け、子供も医者も汗だくになりながらの格闘となります。だから、小児科医はあまり「水いぼ」を取りたくないのです。

 しかし、最近では痛み止めのテープを貼って取る事があります。テープを貼って一時間ほどで効果が出てきます。大きな子供の場合は効果がはっきりしていて痛くないようです。小さな子どもでは恐怖心が先に立ち、やはり汗だくの格闘となることが多いようですが痛みは軽減しているはずです。

 取ってもよし、取らなくてもよしの「水いぼ」です。「水いぼ」の状況、子供とお母さんの気持ちと相談しながら取るか取らないかです。

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