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NO. 224

最近のお母さんは変わったか

平成27年4月

 小児科医を40年近くやっていると、「最近のお母さんは、昔とは変わりましたか?《と意見を求められることがあります。

 何か、小児科医らしい、気の利いた事をと考えるのですが、数百万年前から続く人類の歴史の中で、40年ぐらいの間にお母さんの子供への愛情が変わることなど無いと思う気持ちが強く、「そんなに変わったことはありませんよ、昔(私が医師になった頃)と同じですよ。《となります。

 私が、医師になった頃に、「紙おむつ《が出始めました。確か、プロクター&ギャンブル社が、私が初めて赴任した病院の小児科外来に段ボール箱に入った「パンパース《を持ってきて、使ってくださいと置いていきました。まだ、よく知られていない紙おむつを広めるための宣伝だったようです。

 当初は、「育児の手抜き、もったいない、おむつかぶれが起こる《などの批判があり、紙おむつを使うことに若干のうしろめたさもありましたが、現在では布おむつを見ることはめったにありません。布おむつを見たことの無いお母さんもいるのではないでしょうか。

 紙おむつで、おむつかぶれが多くなることはなく、特に、股関節にとっては紙おむつが断然お勧めです。

 40年前からの紙おむつが育児に大きく影響したとは思われませんが、「そんなに変わったことはありませんよ。《と言ったものの、一つ気になることがあります。メディアがもたらす育児への影響です。

 子ども、特に赤ちゃんと接するときに、多くのお母さんは赤ちゃんの目を見ていると思います。そして、生まれたばかりの赤ちゃんもお母さんの顔、特にお母さんの目を探しています。そこに赤ちゃんのお母さんに対する愛着が育つのです。これは、人類が生まれてから何百万年も続けてきたことです。

 この親と子供の関係が、メディアに奪われているような気がします。哺乳は赤ちゃんが一番お母さんの愛情を感じる時だと思いますが、哺乳をしながらスマホを見ているお母さんあります。赤ちゃんがかわいそうです。また、子供と親が別々のゲームをしていることもあります。せめて、二人で同じ画面で同じゲームをしてほしいと思います。

 メディアにより親子の愛着形成に障害が出てくるのではないかと上安を感じます。この数年のIT関係の進歩には圧倒されます。このわずかな年月のITの進歩が何百万年の人類の歴史、特に親子の愛情に大きな影響を与えるのではと上安を感じます。どうか、子供の目を見ながら遊んであげて下さい。

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