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NO. 219

B型肝炎のワクチン

平成26年10月

 肝炎を起こすウイルスにはA・B・C・D・Eまでの型があります。その中で、日本においてはC型、ついでB型が多くなっています。B型肝炎とは、そのB型の肝炎ウイルスの感染による肝臓の病気です。

 B型肝炎の感染には、垂直感染と水平感染があります。垂直感染は母子感染とも呼ばれ、分娩時に感染することをいいます。水平感染とは周囲の人との接触で感染するものです。

 以前は、B型肝炎の水平感染は血液だけから感染すると考えられていましたが、だ液、汗、涙などからも感染することが分かってきました。

 キャリアとは、いったん感染した後、ウイルスを体の外に排除できずに、ウイルスが肝臓のなかに住みついてして、「ずーっと感染している人《のことです。日本では、約130~150万人がB型肝炎のキャリアだろうといわれています。

 子どもは、大人に比べて、キャリアになりやすく、大きくなった後に、肝硬変や肝がんを発症する可能性があります。

 この、B型肝炎の予防に、B型肝炎ワクチンがあります。乳幼児にB型肝炎ワクチンを接種すると、強い免疫が獲得できます。

 WHO加盟国193カ国のうち、180カ国がB型肝炎ワクチンを定期接種に組み入れています。そのため、全世界では生まれてくる全ての赤ちゃんの75%が生まれてすぐ3回の予防接種を受けています。

 母子感染(垂直感染)の予防には公的医療保険が使えます。

 しかし、水平感染の予防では保険は使えません。日本でも、B型肝炎ワクチンを定期接種(ヒブワクチンや、小児肺炎球菌ワクチンのように、決められた一定の期間に接種をすれば、接種料金の一部または全額を行政が補助してくれる制度です)にして下さいとの動きはあるのですが、なかなか、前に進んでいません。

 現在は、接種をしようと思えば、任意接種で、全額自己負担です。全部で3回の接種が必要です。接種料金は各医療機関で異なりますが、1回が5000円前後であると思います。合計で15000円ほどかかります

 特に、3歳未満でB型肝炎ウイルスに感染すると、キャリアになる可能性が高く、一生、B型肝炎ウイルスが体の中にいることになります。

 家族にキャリアがいらっしゃる場合にはいち早く、そして集団生活をはじめる前にはB型肝炎ワクチンの接種を是非とも考えてください。

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