NO. 213 生後3カ月未満の発熱 平成26年4月 子供は、いろんな原因で熱をします。その多くは、“風邪”とされるウイルス感染症で心配のないことが多いのですが、3カ月未満の赤ちゃんとなれば、話は違います。3カ月未満の赤ちゃんが熱を出したら、10人に1〜2人の赤ちゃんは髄膜炎や肺炎などの重症感染症であるとされています。 重症感染症の予測因子に関する文献がありましたので紹介いたします。アメリカの文献を日本の小児科関係の雑誌(小児内科Vol.46 No3)で紹介していました。 【T】重症感染の危険度ですが、“30日未満”で5.7倍、2か月未満の児では2.5倍となります。やはり、1か月未満の発熱は一番のリスクファクターです。1か月未満の赤ちゃんで、38.5度以上になったら、元気そうでも医療機関を受診して下さい。 次が“異様な鳴き声”です。5.2倍のリスクです。具体的には、よわよわしかったり、逆にかん高く金切り声ようの鳴き声も要注意です。また、「息を吸う時にヒューと嗄れた声」も危険です。「うめき声で苦しそう」も肺炎など呼吸困難の場合があります。 “体温が39.5度以上”は4.51倍の危険度ですが、上記の“日齢”や“鳴き声の方”が、体温より危険度が高くなっています。38.5度〜38.9度では2.6倍となっています。 【U】逆に危険度が1以下の因子は、危険が少ないことになります。 危険度が最も低い因子は“上気道炎の診断あり”が0.18倍とありました。診断されているのですから、既に医療機関を受診してのことだと思います。医療機関で、「これは風邪でしょう」の診断を受けている場合です。 次が、“家族内の感冒あり”で、0.47倍です。家族内に、“風邪”の人がいれば「それがうつっての熱でしょうか」ですが、“家族内の感冒なし”や保育園等の集団生活をしていない場合の熱は、「どこからうつったのか?」となり、“風邪”ではなく、重症な感染症の可能性があります。 “保険加入あり”が0.68倍の危険度です。反対に“保険加入なし”の危険度が高いことになります。医療保険にほとんどの国民が入っている日本では考えられませんが、アメリカでは無保険者がかなりいます。そのような家庭では、社会的経済的問題を抱えていることが多く、その影響を最も弱い赤ちゃんが被っているのです。 我々小児科医にとっても、いくら元気そうでも、3カ月未満の発熱は怖いものです。3カ月未満の発熱は、必ず医療機関を受診して下さい。 |