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NO. 194

溶連菌感染症ではしっかり薬を飲む

平成24年7月

溶連菌感染症が、非常に流行しています。私が医師になってこんなに毎日のように、溶連菌感染症の子どもに会うのは初めてです。

溶連菌感染症の主な疾患は咽頭炎です。溶連菌が“のど”に感染して起こります。のどが痛くなり、熱が出て、手、足、腋の下やお腹の下のところに小さくて赤いブツブツが出ます。典型的な場合は、“のど”の所見や、皮膚の赤いブツブツを見れば、溶連菌感染症と分かるのですが、最近では、“のど”の粘膜を綿棒で取り検査して診断します。 また、大人も罹ります。大人の場合は、“のど”の痛みだけで、発熱やブツブツが出ることは稀です。

治療は抗生物質を、医療機関で指示された期間、しっかりと飲むことです。10日から14日間の薬が処方されます。重大な合併症がありますから、しっかり飲むことが大切です。溶連菌は薬によく反応することが多く、薬を飲めば2日ほどで元気になり、薬のことを忘れてしまいます。でも、最後まで、しっかり飲ませてください。また、家庭内で感染しあうこともありますから、しっかり飲ませてください。

代表的な合併症には、リウマチ熱、腎炎、血管性紫斑病などがあります。どの合併症も溶連菌感染症から約1ヶ月までに発症します。

合併症の症状としては、原因の分からない発熱として始まったり、手足の関節の痛み、突然のコーラのような血尿、逆に尿が全く出なる無尿、また手足の紫斑や、激しい腹痛などがあります。どの合併所も非常に重い病気です。長期の入院が必要であり、一生病気と付き合うことになります。音楽家のモーツアルトは溶連菌感染症から血管性紫斑病になり、さらに、慢性腎炎になり35歳の若さで亡くなったとする説もあります。

いつの間にか溶連菌に罹っていて、合併症だけが起こることもあります。それを防ぐには、溶連菌感染症の拡がりを止める必要があります。その為にも溶連菌の診断を受けたら、指示された期間、しっかりと薬を飲ませてあげてください。

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