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NO. 190

三太と私とアレルギー

平成24年3月

 三太君は我が家の12歳になる柴犬です。

  三太君が我が家に来たときには、私にはスギなどの花粉に対するアレルギーはありましたが、犬に対するアレルギーは血液検査ではありませんでした。それが、三太君が家の内外を自由に飛びまわっている間に、私の 血液検査では犬に対する陽性反応が出てしまいました。つまり、私は、犬に感作された状態となりました。

  しかし、私が三太君と散歩をしても、ブラッシングをしてやっても、高い高いをしてやっても(三太君は高い高いは嫌いなようですが)、アレルギー性鼻炎などのアレルギーの症状は出ません。

 私は、三太君(犬)に感作されていますが、犬アレルギーの症状は出ないのです。つまり、犬アレルギーを発症はしていないのです。これが、感作と発症の違いです。

 これは食物アレルギーに関しても同じことが言えます。たとえば、血液検査で卵に対する陽性反応がでていても、必ずしも、卵を食べて症状が出ることにはなりません。

 乳児期にアトピー性皮膚炎があり、血液検査をすると、食べたことが無いのに卵に対する反応が陽性に出ることがあります。実際に、卵を初めて食べて全身にじんましんが出て、最悪の場合にはショック状態となることもあります。このような場合には、血液検査をすると卵に対して陽性反応が出ています。

 しかし、三太君と私の関係のように、検査は陽性でもアレルギー反応が起こらないこともあります。食べたことが無いのに検査血液検査が陽性だからといって、いつまでも食べないでいると発育や栄養状態に影響が出ることがあります。

 また、卵を普通に食べているのだが、軽いアトピー性皮膚炎があるので、検査をすると、卵が陽性に出ることがあります。「さあ大変だ、直ぐに卵を食べるのをやめよう。」となることがありますが、しかし、これは必要の無い卵の制限の可能性があります。検査が陽性だからといって、検査の前まで食べていた食物を制限するかどうかは、慎重に考えなくてはいけません。

 このように、食物アレルギーの診断は、血液検査だけで下されるものではありません。過去にどんなものを食べていたのか、食べた後に“いつごろ、どのような症状”がでたのか、などの情報が重要です。血液検査だけで判断して食物除去をしているとよくないことがあります。かかかりつけの医師とよく相談して食事療法を行ってください。

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