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NO. 146
ブツブツ
平成20年 6月
お母さん:「先生、このブツブツ、何でしょうか?」
私:「ム―――――、何でしょうかね、はしかでないことは確かなようです。まず、風疹でもないでしょう。溶連菌感染症でもなさそうだし。水ぼうそうでもなさそうだし。手足口病ともちがうし。何でしょうかね。虫さされでしょうか、草まけでしょうか。あせもでしょうか。ム――――― 」
最近、このような状況が1日に1回はあります。はっきりと「・・です。」と答えられないブツブツによく出くわします。言い逃れのようですが、子供のブツブツには原因の特定できないものが沢山です。今回はブツブツの原因について。
ある教科書の「主な感染性発疹症」の表を見ると
1)重要な急性発疹症、速やかに正確に診断が要求される
麻疹・風疹・伝染性紅斑(リンゴ病)・突発性発疹症・溶連菌感染症・ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群・水痘(水ぼうそう)帯状疱疹・ヘルペスウイルス感染症・手足口病・伝染性濃痂疹(とびひ)
2)その他
かぜ症候群・伝染性単核球症・伝染性軟属腫(水いぼ)・Gianotti病・テング熱・つつが虫病など
とあります。1)の病気はかなり特徴的です。なんとか外来で診断がつきそうです。そして、2)では「かぜ症候群」「伝染性軟属腫」以外は珍しい病気です。「かぜ症候群」による「ブツブツ」が厄介なのです。
「かぜ症候群」の原因では「エンテロウイルス・アデノウイルス」が挙げられています。麻疹の原因の麻疹ウイルスは1つですが、エンテロウイルス・アデノウイルスにはたくさんの種類があります。合わせると数十種類あると思われます。手足口病もエンテロウイルスが原因ですがたくさんのウイルスがあり、同じ手足口病でもブツブツの出かたが違います。
エンテロウイルスは“夏かぜ”の原因とされています。また、病気のはじめは“のど”にウイルスはいますが、その後は消化管から長く排せつされるので、感染の予防は難しくなります。
今回は「かぜ症候群」によるブツブツの診断と予防が困難であるということですが、「ム――――― ?」のイイワケのようでした。
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