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NO.134

肥満(T)

 小児の10%前後は肥満といわれており、20〜30年で2〜3倍に増えています。
「肥満」の言葉で、思わずお腹に手が行く方がたくさんいらっしゃると思いますが、今回は、少し我慢をして、「肥満」の話に、付き合ってください。

 以前は、肥満・高血圧・高脂血症・高血糖を「死の4重奏」と怖い名前で呼んでいましたが、最近は「メタボリックシンドローム」(次からはメタボとします)とすこしスマートな呼び名になっています。しかし、この名前もだんだんとイメージの暗いもになってきています。
「メタボ」になると、脳や心臓の病気で死亡するリスクが非常に高くなり、平均寿命もかなり短くなると言われています。

 大人の「メタボ」は、まず、「おへそ」の周りが、男性で85cm以上、女性で90cm以上で、高血圧か高血糖か脂質異常のどれか2項目以上あることです
小児の「メタボ」の基準も作られました。まず、「おへそ」周りが男女とも80cm以上か、「おへそ」周りが身長の半分以上、そして、大人と基準値は違いますが、高血圧・高血糖・脂質異常のどれか2項目以上が小児の「メタボ」です。

 それでは、子どもの肥満が悪いかどうかです。大人では、心臓や頭の血管が破裂した、糖尿病で目の網膜症になって失明や腎不全になったりと、肥満による合併症はいろいろありますが、子どもの肥満が小児期に直接、身体的な合併所を起こすことは稀です。小児期の肥満が大人の肥満に移行してしまうのが問題です。
 丸々と太った、元気そうな子ども達、いつまでに肥満とさよならしないといけないかです。いろんな報告があります。

 1歳までの肥満は、特別な場合をのぞき、その後の体型とは、関係ないようです。
しかし、母乳で丸まる赤ちゃんはいいのですが、哺乳瓶での肥満には気をつけてください。

 3歳までの肥満も、成人肥満とはあまり関係ないようです。
「あまり」と下線をつけましたように、親が肥満の場合は別です。
親が肥満で、その子供が3歳で肥満であると、成人肥満になる可能性が高いようです。

 思春期の肥満は、長期の予後が非常に悪く、高脂血症、脂肪肝、糖尿病が合併しやすいと言われています。
だから、思春期の肥満には「死の4重奏」が待ち構えていると思ってください。

 そうなると、小学校卒業までには、肥満も卒業しましょうが結論です。小学校の高学年になると、運動や食生活の習慣を変えるのは大変ですから、小学校入学前には肥満退治を考えなくていけません。

 次回も、「肥満」に関してです。少しは、お母さんの肥満対策にもなれば幸いですが。