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NO.117

小児白血病と非血縁骨髄移植

平成17年 12月

1歳を過ぎた子どもの死亡原因の1位は不慮の事故、2位は悪性新生物です。1歳を過ぎると、子どもは、事故で亡くなるか、“小児がん”で亡くなるのです。

昔のカルテを調べたときに、“白血病と診断したので、家に帰した。”と書いてある部分がありました。日本でも40年前は“小児がん”は“不治の病”であり、家に帰り亡くなるの待つしかなかったのです。

現在では、医療の進歩で“治る病”となり、“小児がん”の70〜80%は治るとされています。しかし、はじめに書きましたように死亡原因では上位にランクされています。

“小児がん”で最も多いのは小児白血病です。子ども10万に対して1年間で4人の発症があるとされています。津山の子どもは1万人余りでしょうから、2〜3年に1人の子どもが小児白血病になっている計算となります。

小児白血病の治療の主役は薬でありますが、薬が効きにくいタイプであったり、再発をした場合には、“骨髄移植”を受けないと生存は難しくなります。

“骨髄移植”とは、骨髄の提供者の骨を切り取って患者さんに手術をして植えつけるのではありません

血液は骨の中の骨髄で作られています。この骨髄は、骨に太い針をさして吸い取ることにより採取できます。骨髄に針を刺して吸い取る時に非常な痛みがあること、そして、何回も吸い取り沢山の骨髄を採取しなければならないので、提供者(ドナー)に全身麻酔をして骨髄を吸い取ります。そして、採取した骨髄液を患者さんに点滴で輸血するのです。これが骨髄移植です。

この時、患者さんは、体の中に残っている白血病の細胞を殺す為に、骨髄移植の数日前から強力な治療を受けます(前処置といいます)。前処置は強力な治療ですから、前処置だけで骨髄移植をしなかったら、患者さんは前処置の副作用で亡くなります。ですから、骨髄移植の前処置が始まったら後戻りは出来ません。

骨髄移植をするには白血球の型が合はないとだめです。赤血球の型はABO型と言われますが、白血球の型はHLAといわれます。HLAの型は数万から数十万あります。兄弟姉妹では4人に一人は同じ型ですが、非血縁者間で一致するのは日本人では数百から数万人に一人となります。

兄弟姉妹間でHLAが一致すれば骨髄移植ができますが、一致しない場合には、子どもの命を救うために、非血縁者からドナーを探す必要があります。白血病の子どもの親が、非血縁者数百から数万人のHLAを調べることは不可能です。

そこで、非血縁者間の骨髄移植を推進するために“骨髄バンク”がありあます。
これから後は次回です