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NO.110

コッホ現象

平成17年 5月 

 コッホ現象とは、BCGの予防接種を受けたあと、10日以内に接種したところが赤く腫れたり、化膿したりする事を言います。
 今年の4月よりBCG接種の方法が変わりました。以前は、生後3ヶ月から4歳までの間に、ツベルクリン反応が陰性の場合にBCG接種を受けていました。そして、ツベルクリン反応が陽性の時には、結核の感染を疑って検査・治療を受ける必要がありました。
 今回からは、生後3ヶ月から生後6ヶ月未満(生後5ヶ月の最後の日まで)の赤ちゃんに、ツベルクリン反応をしないで直接BCG接種をすることになりました。(6ヶ月を過ぎても任意接種でBCGは受ける事が出来ます。有料となりますが必ず受けてください)

 生後6ヶ月までの直接BCG接種に変更された理由に、

  1.  子どもの結核は1歳児が最も多く、今までの4歳までのBCG接種では1歳児の結核発症が防げないので、なるべく早くBCGをしたほうがよい。
  2.  ツベルクリン反応・BCG接種では2回受診する必要があるが、直接BCG接種では受診は1回でよく、子どもの負担軽減になる。
  3.  ツベルクリン反応の疑陽性(本当は陰性なのに陽性となってしまう)の為に、BCG接種の機会を逃したり、必要以上の治療が行われる事を防ぐ。

などがあると思います。

しかし、6ヶ月未満の直接BCG接種により、

  1.  生後6ヶ月までに診断されていない、免疫不全(抵抗力の非常に無い)の赤ちゃんにBCG接種をすると、全身の結核となり死亡する事があります。しかし、これは100万人に2人程度と非常に稀です。
  2.  ツベルクリン反応をしないので、結核感染児の発見が遅れる。(これが問題です
    などのリスクがあります。

 BCG接種の後、1カ月前後で接種部が赤く腫れたり化膿することがありますが、これは正常の反応です。ところが、結核に感染していると、この反応が接種後10日までに起こります。コッホ現象です。BCG液は強力なツベルクリン反応液と考えられますから、結核に感染しているとツベルクリン反応では2日目に陽性になり赤く腫れるのですが、BCG液ではもっと激しい反応がおこるのです。

 今後は、ツベルクリン反応をしませんから、このコッホ現象がツベルクリン反応の代わりとも考えられます。
 BCG接種後、10日までにコッホ現象が起こったら必ず医療機関を受診してください。結核の可能性があります。