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NO.96

また、少しずつ増えている
“川崎病”

平成16年 3月

 “川崎病”は昭和42年(1967年)に川崎富作先生が発表した病気です(神奈川県川崎市での公害病?ではありません)。外国でも“Kawasaki disease”として知られています。

 4歳以下の子どもに多く、1)5日以上高熱が続き、2)ウサギの目のように白目が赤くなり、3)口紅をぬったような唇になり、4)手足がテカテカに腫れ、あとで指先から皮がむけ、5)体にいろんな形の発疹が出て、6)首のリンパ節が腫れます。

 このような症状は1〜2週間で消失しますが、心臓に合併症を残し、心臓の周りの血管が風船のように膨れたり、狭くなることがあります。最悪の場合には、血管が破裂して突然死してしまいます。

 はじめは、熱があり、のどが赤い程度で、“かぜ”と診断されることがありますが、1〜2日すると、他の症状が出て“川崎病”と診断され、入院治療になります。入院後は主に合併症の予防のためにγグロブリンなどが投与されます。退院後は心臓に異常が残れば、アスピリンなどの薬を飲むことになります。

 本当に多くの研究者が、本当に多くの研究をして原因究明を試みましたが、未だに判っていません。また、発疹が出るので、うつるのではと心配されますが、感染する事は無いようです。

 当初、心臓の合併症による死亡率は、1%前後もありました。子どもの突然死という事でマスコミにも大きく取り上げられ、川崎病の子どもを持つお母さん達は、非常な不安を感じていました。合併症の予防治療法の進歩により、死亡率は0.01%(2002年)まで低下していますが、0%にはなっていません。2001年と2002年の2年間に2人の子どもが亡くなっています。

 川崎病の発表以来、患者数は少しずつ増加をして、1982年には15519人(川崎病研究班)の発症があり、49名の子ども達が川崎病で亡くなっています。その後の患者数は、1988年に5217人とピークの約3分の1までに減少していました。

 原因究明の研究も進まず、小児科の大きな学会でも話題となることが少なく、川崎病の発症はその後も減少しているかと思っていましたが、逆に、1988年以降、着実に増加をしていました。2002年には8128人の報告があるようです。このペースで増加をすると、また、原因不明の疾患として、以前のように注目を浴びるのではと思われます。

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