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NO.95

嘔吐下痢症(U)

平成16年 2月

 インフルエンザの流行は、昨シーズンの同時期と比べて、1/4から1/5の流行のようですが、今年は、嘔吐下痢症(感染性腸炎)が流行し、それもかなり重症になる子どもが多いようです。平成8年12月の“今日も元気で(10)”で嘔吐下痢症を取り上げ、前回でも下痢のときのミルクや食事について書きましたが、今回、もう一度“嘔吐下痢症(U)”について書きます。

 【原因】ウイルスが原因のことがほとんどです。その中でも、冬には“ロタウイルス”という名のウイルスが原因のことが多いようです。その他、下痢を起こすウイルスは幾つかありますから、一冬の内に、2回も3回も“嘔吐下痢症”の診断を受ける事があります。「この間罹ったのに、また、嘔吐下痢症ですか。」となります。

 【症状】突然、嘔吐がはじまることが最も多く、そして、下痢になります。下痢は、一日に10回以上もでる事もあり、ロタウイルスの感染の時には、白色からクリーム色の下痢になります。血便になる事は珍しく、血便が出たら細菌性腸炎か、腸重積症などの他の疾患を考えないといけません。血便になるようでしたら、下痢便をおむつのまま持って小児科を受診してください。

 今年の、“嘔吐下痢症”は重症が多いようで、脱水症状が強く、体液のバランスが崩れたり、低血糖になる事もあります。

 特に低血糖になると、顔が青白くなり、刺激をすると目を覚ますのですが、直ぐウトウト眠ってしまい、点滴のとき針を刺しても泣きません。あさ起きた時に、前のような症状があったら(あさに低血糖になりやすいです)、砂糖をなめさすか、ジュースを飲ませて、急いで小児科を受診してください。

 高熱が出る子どもも多いようです。インフルエンザかと思うほどの高熱とグッタリで受診される事もあります。

 【治療】まずは経口で水分を摂取することです。前回の“今日も元気で”で食事については書きましたが、リンゴのすったものがお勧めです。水分が必要だからといって、一度にあまり沢山の水分を一気に取ってしまうと、吐いてしまったり、お腹が刺激されて下痢が出てしまいます。経口摂取する時は、少なめに頻回にとる様にして下さい。

 元気がなければ早めに小児科を受診してください。小児科では点滴になるかと思われます。何度も言いますが、今年の“嘔吐下痢症”はかなりしつこいです。入院が必要であったり、外来で2日目、3日目と点滴を受けないといけないことが多いいようです。

 3月の中ごろまでは“嘔吐下痢症”が続きます。