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NO.88

予防接種(3)
予防接種って効くんですか?

平成15年 7月

 予防接種に子どもを連れてきているお母さん、「予防接種をしても、病気には罹るんでしょう?」

 私、「・・・・」と、しばらく悩んで「そんなことは、ありません。痛い目をするんですから、ほとんどの場合は、病気にはならないですむんです。」

 しばらく悩んでる間に、「予防接種を受けに来て、なんで今さらこんなことを聞くんですか。予防接種をしたら、病気にならないから、するんです。」と「でも、お母さんの言うとおり、100%ではないんですよね。お母さん」の二つの事が私の頭と心の中で巡っています。

 麻疹ワクチン、風疹ワクチンでは95%以上の効果があります。つまり、100人予防接種をしたら、98人前後の子どもは、麻疹にかからないのです。そして、麻疹に罹ってしまうのは2人〜3人です。おたふくワクチン、みずぼうそうワクチンでは、残念ながら罹ってしまうのが10人前後に増えてしまいます。しかし、予防接種をすれば、病気に罹らない子どもが、圧倒的に多いので、予防接種をするのです。

 それでは、効果が無いのはどんな場合でしょうか。二つのことが考えられています。

1) 初めからワクチンの効果が無かった場合

 ワクチンの保存方法が悪かったり、注射をしようと溶解した後に時間が経ちすぎた場合や、予防接種のあと2〜3日後に高熱のでるウイルス感染症に罹った場合などに、ワクチンの効果がはじめから無い場合があります。

2) ワクチンの効果が、だんだん無くなる場合

 一旦、ワクチンで免疫が出来たら、人間の体は二度と忘れないはずですが、時々、

刺激をしてやらないとダメなようです。例えば、麻疹のワクチンを2歳の時に受けて、しっかり免疫がついても、それから、15年も20年も麻疹のウイルスにお目にかからないと、麻疹のウイルスを爆撃するミサイルが底をついていたり、感知する細胞が体の隅っこでサボってしまい、予防接種の効果が無くなります。しかし、多くの場合は、5〜10年に一度は、麻疹の流行がありますから、体の中でブースター効果(前回の話しですが)が働いて、ミサイルも製造され、感知する細胞もサボることは無く、麻疹に対する免疫が維持されるのです。

 以上の2つの原因で、予防接種が効かない事がありますが、ほとんどの場合は病気を予防してくれて、病気に罹らないのです。今の日本でも、麻疹で50人以上の子どもが毎年亡くなっています。おたふくかぜに罹れば、1週間は保育園や学校を休まないといけせん。一度、母子手帳をみて予防接種の忘れているのが無いか、確かめてください。

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