NO.85 発熱(3) 平成15年 4月 今回も前回に引き続いて、発熱について、小児科関係の雑誌(小児内科Vol.35No.1)から書いてみます。 1)体温調節のセットポイントと発熱・解熱 熱が上がるときには、セットポインが設定されると考えられています。例えば、風邪で体温中枢により38.8度に体温がセットされると、38.8度まで上がってしまうということです。その間の体温上昇期(高熱初期とか悪寒期とも言われます)には「皮膚血管収縮(熱が逃げるのを防ぎます)・発汗減少・ふるえ(熱を産生します)」が起こり、お母さんが「体は熱いのですが、手足は真っ白なんです。」とか「体がブルブル震えてるんです。」となります。この時期に解熱剤を使っても効果はあまりなく、38.8度までは上がってしまいます。 解熱の時期(熱発散期)には、体温のセットポイントが正常に戻り、体温を下降させる反応である「皮膚血管拡張・発汗増加」が起こり、手足は熱く、顔が赤くなり、発汗がみられるとなります。 2)発熱時のホームケア 悪寒期(体温上昇期)は30〜50分間であり、寒がれば冬季は暖めて、夏季には冷やさない。積極的に暖めるのはこの時だけです。 次に高熱持続期・熱発散期となります。室温は、冬は20度まで、夏はクーラーなどを利用して25度〜27度に下げる。湿度は50〜60%に。 夏に「クーラーを使っても良いんですか。」と聞かれます。「クーラーの無い病院はありません」と答えています。 発熱している子どもを暖めすぎるお母さんに「アメリカでは水風呂に入れて体温を下げるんですよ」と言ったりしていましたが、どうも正確では無かったようです。実際には、水でなく32度程度のぬるま湯に、ごく短時間入れるようです。そして、室温は冬でも25度〜27度で台所などの暖かい部屋で行うようです。冬の日本の室温で行うのは無理なようです。 3)心因性の発熱 10歳以下の心因性発熱は少ないようです。慢性疲労が続くと、深部体温の全体的な高値、もしくは睡眠時の体温低下がみられないなどの、交感神経(体を興奮させる神経)の過剰な緊張が起こり「生態時計」が混乱するとありました。 4)発熱と解熱剤 使用は、一般的には、体温(38.5〜39度)と症状(全身状態)、を加味して決定されることが多い。薬剤は、何度もでましたが薬剤名「アセトアミノフェン」です。 |