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NO.81

インフルエンザ迅速(すぐに結果の出る)診断検査

平成14年 12月

 今年も、インフルエンザの季節になりました。

 確か、今年の初めに、「インフルエンザに罹ったかなと思ったら、インフルエンザの迅速診断検査をしてもらい、検査でインフルエンザと結果がでたら、インフルエンザの薬をもらいましょう。」と書きました。インフルエンザに対して、これだけの検査と治療が保険で出来る国は日本だけだと思います。

しかし、そんなに単純ではありませんでした。どんな、検査でもそうですがインフルエンザの迅速検査は100%信頼が出来るものではないのです。

 インフルエンザには効果的な薬があるだけに、早期診断して、早期治療が出来れば子ども達はずっと楽にインフルエンザと付き合えます。そのためには、インフレエンザの迅速診断が正確である必要がありますが、現在の迅速検査では、インフルエンザであるのに、インフルエンザではないと結果がでるのが10%〜

 30%はあるようです。

 10人のインフルエンザに罹っている子どもがいた場合、検査で陰性となるのが1人〜3人いるのです。そして、この子ども達は、インフルエンザなのに、検査が陰性のために、良く効く薬をもらえない可能性があります。症状からインフルエンザが非常に考えられる場合には、検査が陰性でもインフルエンザの薬を飲んだほうが良いことになります。

 のどの奥や、鼻の奥に感染しているインフルエンザを綿棒などで取ってきて検査をします。そして、のどより鼻の方が正確な検査が出来ます。鼻の奥に綿棒を入れられるのは、かなり辛そうです。子ども達は、「二度とあれだけはいや」と言います。しかし、正確な検査の為には我慢してもらわないといけません。

 もう1つ、この迅速検査は結構高くつきます。

 検査をして治療をするのは理想的ではありますが、検査の精度がもう少し上がらないと、ちょっと考えてしまいます。症状からインフルエンザが強く疑われる場合には、検査しないでインフルエンザの薬を飲んだほうがいいのでしょうか。逆に、臨床的にインフルエンザでないような場合に、検査をして、インフルエンザの可能性を否定したほうがいいのかも知れません。

今シーズンは「検査して、陽性ならインフルエンザの薬を飲みましょう」と言う、これまでの方針を変更して、迅速検査に頼らない診療も必要でしょうか。インフルエンザが疑われるのに、検査が陰性だからといって、インフルエンザに良く効く薬を飲まないのは避けたいことです。

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