NO.76 無菌性髄膜炎 平成14年 7月 津山市では、無菌性髄膜炎が、ビックリするほど流行しています。熱が出て、頭が痛く、おう吐をして、グッタリした子供たちが毎日のように来ています。 髄膜とは、脳や脊髄を包んでいる膜のことです。髄膜炎とは、この膜に炎症が起こる病気です。脳の中(実質)まで炎症がおよぶと、髄膜脳炎となり、意識がおかしくなったり、ケイレンを起こしたりと、非常に重症になります。 無菌性髄膜炎は、主に、ウイルスによって起こります。一方、細菌によって起こる髄膜炎は化膿性髄膜炎といわれ、無菌性髄膜炎に比べ、大変な病気です。今回は、現在、流行している無菌性髄膜炎について。 【原因】主に、ウイルスが原因です。ウイルスには、インフルエンザや麻疹、水痘などたくさんありますが、今回は夏かぜをおこすエコーウイルスと言うウイルスが原因のようです。 【症状】突然の発熱、おう吐、頭痛が主な症状です。はじめの症状はかなり重症で、ほとんどの子供たちがお母さんに抱っこされて診察室に入ってきます。本当に、つらそうです。一日半からニ日ほど症状は続きますが、翌日かその次の日には、元気になって、トコトコと歩いて診察室に入ってきてくれます。しかし、頭痛が強烈であったり、おう吐が頻回で脱水症状がひどければ入院が必要です。 津山では、4月頃から、患者が出てきていました。始めは、小学校の中高学年生が多かったようですが、最近では保育園や幼稚園で流行ってきているようですし、お父さん、お母さんも罹ることがあるようです。 【治療】エコーウイルスには特別な治療はありません。家庭では、安静が重要です。そして、発熱、頭痛には坐薬などの解熱鎮痛剤で対処します。おう吐が強く、経口摂取が出来なければ、点滴で水分の補給をします。ケイレンが起こったり、うとうとして意識がおかしいときには、髄膜脳炎になっている可能性が有り、緊急の受診が必要となります。とりあえず、約2日間のつらい時期をなんとか乗り切れば元気になるようです。 【合併症】髄膜炎という言葉は怖そうですが、無菌性髄膜炎は、合併症なく、後遺症なくおさまることが一般的です。しかし、新生児や乳児(一歳まで)では注意が必要です。 今年は、春から、麻疹(はしか)、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)、そして無菌性髄膜炎といろんな病気が流行っています。子供だけでなく、大人も罹っているようです。気をつけてください。 |