NO.58 2001年 平成13年 1月 2001年、明けましておめでとうございます。 21世紀の最初の年、2000年台の最初の年の正月を迎える事は、今の私達にしか経験できないことです。過去の2000年間を少し。 西暦1年頃:西欧ではローマ帝国が栄えた頃でしょうか。キリストが馬小屋で生まれた年です(実際は紀元前4年ごろに生まれたそうです)。日本は、弥生時代でした。沼の弥生住居跡のような住み家で日本人は生活をしており、中国大陸の漢国から金印“漢委奴国王印”を受け取っていた頃です。 西暦1000年頃:平安時代です。清少納言が“枕草子”を書き、紫式部と女の戦いをしていたのでしょう。 西暦1901年:夏目漱石が“吾輩は猫である”の連載を1905年から始めています。そして、1901年には第一回ノーベル賞の受賞がありました。ノーベルは1866年に発明したダイナマイトで富を得たのですが、ダイナマイトの自然や生物、人間に対する暴力的な使われ方に心を痛めて、人類の福祉に最も具体的に貢献した人びとを称えるために、ノーベル賞を設けました。 その後の100年間には、子どもの医療だけに目を向けても素晴らしい進歩がありました。抗生物質・抗がん剤の発明・発見や予防接種の普及などにより、それまでは、確実に亡くなっていた子ども達が助かりました。そして、100年の終わりに、クローン牛が生まれ、遺伝子操作には医療ばかりでなく、各産業が参加してきました。これはダイナマイトや原子力以上の科学であり、人類に尽きる事の無い恩恵をもたらすか、または暴力と滅亡をもたらすか紙一重のような気がします。 昔は、人類は全て同じ人種で同じ言葉を話して、繁栄し自身満々で、神に近づこうと、天までとどく“バベルの塔”を建てようしたのです。その高慢に怒った神は、言語を混乱させて、人びとを各地に散らして完成を妨げました(旧約聖書の[創世記])。その為に、今のように色んな人種と言語があるとされています。 20世紀の終わりからの遺伝子操作の科学には“バベルの塔”のような雰囲気があります。人間が神に近づき、神の作った人間を作り変える事を目ざしているのではないでしょうか。次の100年間は確実に遺伝子の時代で、素晴らしい進歩が望めるでしょうが、人間は神にはなれません。地球上の全てのものに恩恵をもたらす遺伝子科学の発展を子ども達に期待します。 |