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NO.41

DNA

平成11年 7月

 最近、テレビのコマーシャルなどで、DNAという言葉をよく聞きます。

 DNAがどんな意味で使われているか良くは分かりませんが、ここでは、人間の遺伝子DNAについて書いてみます。

 人のからだは、一つの細胞が分裂・分化して目になったり、心臓や腎臓になります。クローン羊を生み出しましたが、どうして、目や心臓が出来るかは、われわれには、まだ、全く分かっていません。しかし、細胞の核にある遺伝子DNAが、どのような働きをしているか、どのようにして遺伝情報を伝えるかは少し分かってきました。

 染色体をご存知でしょうか。細胞が分裂する時に出現して、普通の顕微鏡で見る事が出来ます。人間には46本あります。染色体は一本の糸のように見えますが、実は毛糸のようになっていて、さらに細かな糸が絡み合っています。その最も細かい糸がDNAです。このDNAも二本の糸が向かい合い、くるくるとラセン階段のようになっているのです。

 人の蛋白質は、20種類ほどのアミノ酸からできています。アミノ酸が100〜500個つながって一つの蛋白質の基を作ります。アミノ酸の一つでも変ってしまうと全く違った蛋白質になってしまう事もあります。このアミノ酸の順番を決める情報がDNAの中に入っています。DNAには人間の体を作るものすごい量の情報がはいっているのですが、記号としてはA・G・C・Tの4個しか無いのです。さらには4個の記号のうち3個で一つのアミノ酸を決定するのです。つまり、AGCなら“a”と言うアミノ酸、AGTなら“b”と言うアミノ酸となります。3個の組み合わせは全部で64通りですが、このような暗号が遺伝子には約30億ならんでいます。そのうちの1/3が重要なデータだそうです。4個の記号だけで人間を形成する暗号を作っているのです。

 また、DNAは2本の糸からできていますが、4個の記号では、AとT、GとCが必ず対になっています。複製する時には、DNAの2本の糸がとけて、必ずAとT、GとCの関係で新しい相手を作るので簡単に、そして間違いもなく同じものを複製できるのです。

 以上のようにして、DNAは人体の情報を簡単に暗号化し、保存し、間違いなく複製しているのです。コマーシャルに使いたくなるような、響きとカッコ良さのある言葉であるのは当然だと思います。しかし、どうして同じ細胞から目と耳と鼻が出来るかは分かっていません。私たち人類が知っている事は本当に少しだけです。

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