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NO.39

「寝る子は育つ」と不登校

平成11年 5月

 「寝る子は育つ」とは、昔からのことわざですが、子供の成長のスパートが始まると、毎朝のように背が高くなっていると言われるお母さんもいます。このことわざは、医学的にも正しいのです。子供の成長を促すホルモンである“成長ホルモン”は脳の下垂体とい所から分泌されるのですが、眠った後のしばらくの時間に最も多く分泌されるのです。子供が、ぐっすり眠っている顔を見るのは本当に心安らぐものですし、子供もぐっすり眠りながら、一生懸命に成長しているのです。

 「早起きは三文の徳」とか「早寝、早起き」などもの言葉もあります。一日の眠りのリズムを正しく保つことも、いろんな意味で大事なのです。特に最近では、一日の睡眠のリズムと学校へ行けない事、つまり、不登校との関連が言われています。

 不登校の子供たちは、午前中は頭がボーとして、とても学校に行ける状態ではなく、昼から夕方にかけて元気が出てきて、夜には眠れなくなり、悪循環を繰り返します。この子たちの、脳波や体温やある種のホルモンを測ってみると昼型から夜型に変っている事があります。不登校の原因には、学校の問題、家庭の問題、友達関係といろいろあるでしょうが、この睡眠リズムの乱れが第一だと言う小児科の医者もいます。さらには、昼から始まる学校を考えたらどうかとの意見もあります。

 夜型の生活になると、特に午前中が調子が悪く、朝は自分で起きれない、朝食が食べれない、お腹が痛い、頭が痛い。また、体温のリズムもくるってくると、微熱が続くこともあります。すぐ横になったり、学校に入ったら、授業に集中が出来なくもなります。このような症状は他の原因も考えられますが、睡眠リズム、生活リズムの乱れも考えて下さい。これは、子供だけでなく、大人でも同じでしょう。

 いちど出来てしまった睡眠リズムは、そう簡単には元にもどりません。小学校の高学年から、今までに出てきたような症状が出る事が多いのですが、その頃になって、生活リズムを変えるのは難しいようです。保育園、幼稚園に通っている時から、夜型の大人のリズムでなく昼型の生活を送るように注意して下さい。

 以上が、不登校や最近の学校の問題を、脳波やホルモンなどのとの関連で考えている、ある小児科の医者の意見です。夜型の生活リズムが、いろんな問題の原因の総てとは思われませんが、良くはないのは確かだと思います。

 「寝る子は育つ」「早起きは三文の徳」とは昔からのことわざですが、今でも正しく、医学的にもある程度、証明の出来ることわざです。

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