NO.38 細菌性食中毒 平成11年 4月 今年のインフルエンザは、流行の期間も長く、発熱の程度も日数も厳しかったようです。ひどい目に会った方もおられるのではと思います。温かくなったこれからは、今は知らない人もいなくなった“O―157”を中心とする、食中毒の季節となりました。3年前に“O―157”のは流行った時に書きましたが、今回もう一度、細菌性食中毒について書きます。 食中毒の原因の第一位はサルモネラです。次に、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、ブドウ球菌が続きます。 サルモネラ腸炎では、便は大量の緑色水様となります。高熱がでたり、ケイレン、意識障害、腎不全などと重症となる事が有ります。感染源は肉類、鶏卵、ペットや野生動物等です。特に、鶏卵のことが多く、生卵は特に乳児、幼児には厳禁です。たまごご飯はよくありません。 病原性大腸菌による腸炎は、“ベロ毒素を産生する大腸菌”と“産生しない大腸菌”に分けられます。ベロ毒素産生菌のときには保健所に届け出なければなりません。ベロ毒素産生のときには、便は鮮血便、つまり真っ赤な血液がでます。溶血性尿毒症症候群という非常に恐い合併症があります。感染源は火の十分とっていない食肉(外国ではハンバーガー、国内では焼き肉、生肉)、野菜、水、ヒト、糞便で汚染されたもの等があります。 腸炎ビブリオは生鮮魚介類とその加工品が感染源となり、特に夏に多発する食中毒です。普通の下痢便に近い黄褐色の水様便です。症状は激しくなりますが回復は早いようです。 カンピロバクター腸炎では、水様粘血便がでます。ドロッとした粘液の中に、鮮血便が混じっています。感染源は食肉(特に鶏肉)、ペット(イヌ、ネコ、小鳥)、水(井戸水、湧き水)等です。菌は低温に強く4℃つまり冷蔵庫の中では長期間生存します。冷蔵庫に入っている鶏肉は要注意です。2〜3日で症状は軽快します。重症となる合併症は比較的少ないようです。 ブドウ球菌食中毒はブドウ球菌が産生した毒素が原因となる中毒です。ヒトが保菌者となって、にぎりめし、折り詰め弁当、生菓子、豆腐などが原因食品となります。毒素は熱に強く、100℃、30分加熱では不活化しません。また、他の食中毒の潜伏期間は細菌が繁殖する時間がかかりますから、短くて半日、長いと1週間ですが、ブドウ球菌食中毒は、毒素による症状ですから、食べて6時間までには症状が出ます。下痢は水様便から泥状便で、血便はまれです。 それでは、最もだいじな、食中毒を防ぐ方法です まず、食材の注意です。生野菜は流水で十分に洗浄を、肉類や冷凍食品は十分に加熱をして下さい。生卵はだめです。冷蔵庫の中では食中毒の菌は死にません。 調理器具は熱湯や次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤など)で清潔にして下さい。 手に触れた食材が変わるごとに手洗いをしましょう。 調理した食品は速やかに食べましょう。 |