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NO.32

ミルク

平成10年 10月

 私は昭和20年代の生まれで、母乳の出が悪かったのでしょうか、ヤギのミルクで大きくなったそうです。また、その頃には、今の和歌山の”ひ素中毒事件”ではありませんが、”森永ひ素ミルク事件”がありました。粉ミルクの中に誤って”ひ素”が混入してしまい、全国で約1万2000の赤ちゃんが病気になり、138人の赤ちゃんが亡くなった事件です。現在では、考えられないことです。そして今では、赤ちゃんの状態に応じたいろんな種類のミルクがあります。今回は、牛乳アレルギー用ミルクを中心に、その他フォローアップミルク、乳糖不耐症用(下痢用)ミルクについて書きます。

 まず、フォローアップミルクです。蛋白質とカルシウムが一般の育児用ミルクより多くなっています。本来は、牛乳代替品としての性格のミルクであり、離乳食が順調に進んでいれば一般の育児用ミルクで十分です。また、フォローアップミルクに変えるとしても生後9ヶ月からとして下さい。

 次は、乳糖不耐症用(下痢用)ミルクです。下痢のとき、特にこれからの季節の下痢のときには、ミルクの中の乳糖という糖を分解吸収できなくなることがあります。この時は、下痢が白っぽくなり長引きます。ラクトレス(明治)ラクトースフリー(和光堂)などの乳糖を含まないミルクがあります。これは、小児科医に相談して使用して下さい。

 牛乳アレルギー用ミルクには大きく分けて2群あります。牛乳の蛋白質を使ったミルクと大豆の蛋白質を使うミルクです。これらも、小児科医に相談して使用して下さい。

 ボンラクト(和光堂)ソーヤミール(明治)が大豆乳ですが、アレルギー体質の赤ちゃんに大豆をたくさんあげるのは、大豆アレルギーを起こす可能性があり、あまり感心しません。出来れば、大豆乳はさけてください。

 牛乳の蛋白質を使う場合には、その分解の程度で、アレルギーへの効果が違います。しっかり分解されている方がいいのですが、その分、味も悪くなり、値段も高くなります。エレメンタルフォーミュラ(明治)はアミノ酸からできているミルクで牛乳アレルギーを起こすことはありませんんが、非常に味が悪く飲みにくいミルクです。次に、MA−1(森永)エピトレス(明治)ぺプヂィエット(雪印)などが、その次に、のびやか(明治)があります。前の三つのほうが、のびやかよりアレルギーには効果がありますが、のびやかの方が飲みやすいようです。そして、牛乳アレルギー治療用ではありませんが、アレルギーの予防用として、E赤ちゃん(森永)があります。はっきりと牛乳アレルギーのある赤ちゃんには、アレルギーを起こしますが、お兄ちゃん、お姉ちゃんが牛乳アレルギーがある時に、アレルギーの予防としては効果があるようですが、あくまでも予防用ですので気をつけてください。

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