NO.18 アトピー性皮膚炎 W 塗り薬 平成9年 8月 ”ぬり薬”は、ステロイド軟膏・ステロイドクリーム(いわゆるホルモン剤)と非ステロイド軟膏・非ステロイドクリームに分けられます。 マスコミで過剰(というか異常)にホルモン剤の副作用が報じられているために、ホルモン剤にアレルギー反応を起こしている方もいます。しかし、アトピー性皮膚炎では、皮膚の炎症・乾燥からくる”かゆみ”が一番の悪者です。これを断ち切らないと、いつまでも”かく”ことによる悪循環は断ち切れません。これらを根元から断ち切るには、現在の医学ではホルモン剤しかありません。 ホルモン剤には、その効果(残念ながら副作用の出かたもいっしょですが)により、5段階に分類されています。アトピー性皮膚炎はよく”火事”にたとえられます。火の手が激しいときには、強い薬でしっかりと消火しないといけません。中途半端な消火でやめてしまうと、すぐに火の勢いはぶり返します。火が弱くなったあとは、はじめほどの強い薬はいりませんが、ホルモン剤による消火活動は必要です。また、いつまでも強力な消火活動をしていると、まわりの家までずぶぬれになり、副作用が出て、後始末が大変となります。 鎮火したあとは、整備をしないといけません。もともと、アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しているので、保湿が必要です。非ステロイドのぬり薬で皮膚の乾燥を防ぎます。しかし、これには多くの種類の薬があり、時には、その薬でかぶれることもあるようです。 細菌は、アトピー性皮膚炎の増悪因子です。皮膚からしるが出たり、赤くなっていたら、細菌がいます。お風呂、シャワー、石鹸で清潔にし、時にはぬり薬だけでなく、消毒液を使って積極的に殺菌して下さい。 軟膏は一日に2〜3回塗ります。塗りかたは、お母さんのお化粧にたとえられます。汚れた顔にお化粧はされないと思います。まず、汚れを落して、少し厚化粧でいいですから、十分に塗って下さい。あまりゴシゴシと強く塗ると皮膚をいためてしまいますから、やさしく、湿疹のある所だけに塗ります。 ホルモン剤を使うときには、医師の指示に従い、勝手に止めないで下さい。消火が不十分ですと、あとの火のほうが大変となります。また、薬の名前と、どの程度の強さの薬なのかは医師に尋ねて下さい。 |