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NO.15

アトピー性皮膚炎の定義(日本皮膚科学会)

平成9年 5月

 ”アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。

” アトピー素因:1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)、または2)IgE抗体を産生しやすい素因。

 これが今をときめくアトピー性皮膚炎の定義です。要するに、”かゆい”湿疹がながく続き、家族にアレルギー性疾患があればアトピー性皮膚炎の可能性があります。今回はこのアトピー性皮膚炎について書きます。

 乳幼児の10%近くがアトピー性皮膚炎の診断を受けています。あかちゃんの時には顔・頭が中心で、かき傷がみられます。だんだんと、体の下の方に湿疹が移っていき、着替えや、お風呂上がりに裸になると胸やおなかの辺りをかいたり、背中がかゆくモゾモゾと背中をこすります。幼児・学童になると肘や膝の裏側の湿疹が中心となります。

 アトピー性皮膚炎で困るのは、とにかく”かゆい”ことです。特に、お風呂上がりや、寝入りばななど暖まるとかゆみが増し、寝れない事もあります。かゆくなければ湿疹があっても子供を悩ます事はないのです。そして、かくと湿疹はドンドンと悪くなるのです。

 アトピー性皮膚炎の要因は様々であり、分かっていない事がほとんどかもしれませんが、その中で責任のありそうなものに、”食物、ダニ、ストレス、細菌などの感染”があります。

 この中で、細菌はアトピー性皮膚炎の原因ではなく増悪因子です。アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しおり、また、かかれることで目にみえない小さな傷ができています。皮膚のバリヤーが壊れて、細菌が増殖しやすくなるのです。細菌が増殖すると炎症が起こりかゆみがまします。そして、皮膚をかき、皮膚を傷をつける悪循環を起こします。アトピー性皮膚炎ではこの細菌を減らしバリヤーを回復するために、皮膚を清潔に保つスキンケアーが特に重要です。

 ストレスもアトピー性皮膚炎の要因となっているようです。母子ともにアトピー性皮膚炎でいろんな医療機関を受診したが良くならず、治療をあきらめて、暗い顔をした親子がいました。一年ぶりに会うと、母子ともに非常に良くなっていました。どうしたのかと聞くと”この子が保育園に通い出したころから良くなりました”と明るい返事でした。子供を保育園にいれ、育児に余裕が出たのでしょうか、母子ともにいい方向へいったようです。

 次回は、”食物アレルギー・ダニ・アトピー性皮膚炎の治療”を中心に書いてみます。

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