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NO. 273

卵アレルギーはどうして起こる?

2019年6月

 食物アレルギーは、アレルギーを起こす物質が少なくとも2回目に体に入ったときに起こるはずです。1回目に入った時には、アレルギー反応は起こらずに、アレルギー反応を起こす準備までしか、体はしないはずです。

 しかし卵アレルギーの子どもは、初めて卵を食べたときに、激しい皮膚反応を起こすことがあります。

 食べたことがないのに、初めて食べてアレルギーを起こすのは、不思議でありました。お母さんのおなかの中で、お母さんの食べた卵が原因ではないか?とか、多くの研究がされてきましたが、確かな証拠はありませんでした。

 10年近く前に「茶のしずく石鹸」事件があり、小麦入りの石鹸で顔を洗っていたら、それまで食べても大丈夫であった小麦を食べて食物アレルギーの症状が出るようになった患者さんが沢山でました。

 「アレルギーの原因物質が皮膚から入ってくると、食物アレルギーを発症するのではないか?」となりました。

 今回、「子どもの寝具のほこりを掃除機で吸い取り、卵アレルギーの原因となる物質の量を測ったところ、全例で、ダニのアレルギー原因物質より多い量の卵アレルギー原因物質が検出された」との論文が発表されました。

 「なぜ、卵を食べたことがない子どもが、初めて卵を食べてアレルギーを起こすか?」への解答が少し見えてきました。

 皮膚から、子どもの周りにある卵アレルギーの原因物質が入ってきて、アレルギー反応を起こす準備が始まるようです。次に、口から入ってきて、食物アレルギーの反応が起こることになります。

 それでは、どのようにして、卵アレルギーを予防するかです。(1)まず、「環境にある物質を少なくする」ですが、現実的には、掃除機をかけて卵を吸い取るでしょうか。(2)次に、卵が皮膚から入ってくるのを防ぐですが、荒れている皮膚から入ってきやすいですから、「皮膚の状態を良好にする」、つまり、アトピー性皮膚炎や湿疹をしっかり治療することでしょうか。(3)その次が、口から入ってくるとアレルギーの準備の反応は起こりにくいとされていますから、「皮膚を通して卵アレルギーの準備ができる前に、卵を食べさせる」ことが予防につながりますから、離乳食を開始したら、卵の接種を積極的に始めるでしょうか。もちろん、すでに卵アレルギーが起こっている子どもでは、卵の摂取に関しては医療機関で相談してください。

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