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NO. 271

HPVワクチン接種を勧めましょう

平成31年4月

 日本外来小児科学会が「HPVワクチン接種を勧めましょう」と小児科医へ向けて <お知らせ> を出しました。主に、中学生女子に関することではありますが、HPVワクチンについての“今日も元気で”です。

 子宮頸がんは日本では年間約15000人が発症し、約3500人が死亡すると推定されています。そして、20〜30歳代の若年女性の子宮頸がん患者の急激な増加がみられています。

 HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染を予防するワクチンです。ワクチンは2006年にアメリカとEUで、日本では2009年にワクチンとして承認され、日本では2013年4月から定期接種のワクチンとして指定されました。

 定期接種となると、予防接種を受けましょうと、行政が「積極的接種勧奨」を行いますから、接種率は80%近くありました。しかし、「接種後有害事象の報告」があり、2か月後の2013年6月に「積極的接種勧奨の差し控え」となり、接種率は1%以下となっています。

 その後の研究により、ワクチン接種後に出現する多彩な症状をHPVワクチン接種に原因があるとする根拠は、現在示されていないとされています。

 以前、日本脳炎ワクチンも、「積極的接種勧奨の差し控え」された時期がありましたが、改良日本脳炎ワクチンの開発後に「積極的接種勧奨」が「再開」されました。「差し控え」の時期には接種率がかなり低下していましたから、「再開」後には、「差し控え」の時期に接種対象年齢であった子どもたちの救済のために、接種期間がかなり緩和されました。

 しかし、子宮頸がん予防ワクチンは、

 「感染後に接種しても効果がないことが考えられますから、現在接種対象年齢の子どもたちが接種するために残された時間は長くありません。・・・

 私たちは、子どもたちがHPVに感染するのをそのまま見過ごすことはできません。定期接種として接種できる機会があることを知らせず、HPV感染とそれに続く子宮頸がんのリスクに関する情報も知らせないまま放置することは問題と考えます。」と、力強い <お知らせ> となっています。

 また、WHOは「日本では、積極的勧奨の差し控えが続く中、若い女性が本来予防できるHPV関連のがんの危険にさらされたままとなっている」として、日本の政策決定を批判しているとされています。

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