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NO. 216

「三次喫煙」と「PM2.5」

平成26年7月

 子どもへのタバコの害について、永く活動をされている、静岡保健所所長の加治正行先生の論文(小児科:vol.55No.4 2014)を紹介させていただきます。

 【1】「三次喫煙」

 「三次喫煙」とは、喫煙室の壁やカーテン、喫煙者の衣服からタバコ臭が漂ってくるのですが、これを吸いこむことを「三次喫煙」と言います。この「におい」の中には、当然、タバコの成分が含まれています。発がん物質が含まれることも明らかになっています。

 一方、二次喫煙とはタバコの「煙」を吸う事で、受動喫煙とも呼ばれています。二次喫煙(受動喫煙)との関連が証明されている小児疾患には「乳幼児突然死症候群・気管支喘息・呼吸器感染症・中耳炎」などがあります。タバコの「におい」による「三次喫煙」の人体への影響は、まだ明らかではないのですが、煙は無くても「におい」でタバコ成分を吸いこんでいるのは確かなようです。

 【2】「PM2.5」

 「PM2.5」とは、大気汚染で問題となっている物質ですが、直径が2.5μm以下の物質の事です。2.5mmの1000分の1以下の大きさの物質です。一つ一つは肉眼では見えません。この大きさの微粒子は肺の奥まで到達してさまざまな病気を起こします。

 日本の環境基準では「PM2.5濃度が1日平均値35μg以下」となっています。また、「PM2.5が70μgを超えたら、不要不急の外出や屋外での活動を控えましょう」と注意喚起を行っています。

 このPM2.5の問題、日本では屋外よりも屋内のPM2.5汚染が深刻であり、その原因がタバコであるとされています。

 飲食店などで喫煙する人がいるとPM2.5はただちに数百μgのレベルに達し、自動車内で喫煙すると1,000μgを超えます。

 

 小児科医としては、喫煙の害について「気管支喘息や中耳炎」などの子どもへの影響ばかりを言ってしまいますが、最近の禁煙治療には「楽にやめる止め方法がある」と聞くだけで禁煙に関心を示すひとも少なくないそうです。

 (喫煙される方には耳に痛い話ですが、タバコをやめると、そのお金で、家族みんなで美味しい食事ができます、そして、長生きが出来て、子ども達との楽しい生活を一日でも長く送ることができます。)

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