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NO. 182

生類憐れみの令

平成23年 7月

 “生類憐れみの令”、今から300年以上前の1687年、5代将軍徳川綱吉が制定した「天下の悪法」として有名なお触(ふ)れです。人間以上に「犬」を保護し、多くの人たちが苦しめられている様子がテレビの時代劇などで出てきますが、実際には、犬だけでなく、猫や鳥、魚類・貝類・虫類などの生き物、さらには人間の乳児にまでの保護が含まれていました。

 それから、約200年後の1874年にニューヨークでメアリ・エレン事件が起こりました。メアリ・エレンという女の子が継母から残虐な待遇を受けていたのですが、当時のアメリカにはその様な子どもを助ける制度がありませんでした(日本ではその200年前に将軍綱吉が子どもの安全のための“生類憐れみの令”を出していたのですが)。メアリを救い出そうとしていたウィラー夫人が助けを求めた先は、ニューヨーク動物虐待防止協会でした。動物が持っている権利ぐらいは認めるべきだとして、メアリは救い出されました。この事件の後、ニューヨークに子どもの虐待防止協会が設立され、やがて世界に広がったとされています。

 江戸幕府が鎖国をしていなかったら、徳川綱吉は世界で初めて子どものための法律を作った名君として世界中で認められていたかも知れません。

 現在は、2000年に「児童虐待防止法」が制定されています。これは、育児に困ったお母さんに、なるべく早く援助をしてあげようとする法律です。法律が制定されたあとから、虐待報告件数が非常に多くなっています。しかし、虐待だからといって、体に直接の外傷を与えているのではなく、育児に困っているお母さんの報告が多くなっています。これまで、虐待とは思われなかった事でも、この法律で取り上げて、早いうちにお母さんに援助をしようとしているので、報告数が多くなっています。困っているお母さんがいたなら、なるべく早めに行政へ連絡して、いろんな方面から、いろんな人の力をかりて、母さんと子どもを援助しようとする法律です。

 育児に困っているお母さんがいたならば、それがどんな理由であってもいいと思います、津山市役所の子ども保健部に連絡してあげてください。保健師さんなどが中心となって援助をしてくださいます。

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