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NO.37

ヘルニア

平成11年 3月

 3月になりました。卒園、卒業の季節、そして、入学の準備です。4月から小学となる子供のいるお母さんは、もう一度、母子手帳の予防接種のところを見てください。多くの定期接種は生後90ヶ月までに受ける事になっています。ほとんどの予防接種は、何才でも受ける事が出来るのですが、行政の決めている注射を決まった期間(多くの場合が生後90ヶ月までです)に受けると料金はただとなります。そうでなくても、小学校で集団生活を始める前には、予防できる病気は予防して上げて下さい。主な定期予防接種は、三種混合、はしか、風疹(三日ばしか)、日本脳炎などです。

 今回は“ヘルニア”の話です。ヘルニアと名の付く病気は沢山あります。頭の中から、胸・腹の中、脊椎(背中の骨)までと体中どこでもヘルニアという状態になることがありますが、子供でヘルニアといえば、“おへそ”と“そけい部”のヘルニアです。

 臍ヘルニア(でべそ)

 生後1ヶ月をすぎるころから「でべそ」がめだってくることがあります。これがおへそのヘルニアです。3〜4cmまでの大きさになることもあります。おへそのまわりの筋肉がまだ弱いので、腸が皮膚の下にもり上がってくるのです。出ている所をおすと、グジュッという感触が手に伝わり、腸がもとに戻ります。

 この病気は、まず心配いりません。おへその回りの筋肉が発達してくると、ヘルニアは治ります。ばんそうこうや硬貨をはったりしても効果はありませんし、かえってただれることがあるのでやめて下さい。しかし、巨大なヘルニアや、3〜4才になっても治らないときには手術が必要です。

 そけいヘルニア(脱腸)

 足のつけ根の部分をそけい部といいます。お腹のなかの袋である、腹膜のそけい部のところから腸が出てきてしまう病気で、脱腸とも言われます。そけい部のふくらみで気付かれる事が多いいのですが、腹痛で病院に来る事もあります。膨らんでいる所を押すと、臍ヘルニアと同じく、グジュッとして元に戻ります。

 このヘルニアは、まず自然には治りません。また、戻らなくなってしまうと、腸がしめつけられ、吐いたり、痛がったり、陰嚢が赤く腫れたりします。こうなると、緊急手術となり、危険なこともあります。そけいヘルニアと診断されたなら、なるべく早めに外科を受診して、手術の予定をして下さい。

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