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NO.36

血尿

平成11年 2月

 「血尿が出たんです。オムツに赤いものがついているんです」とお母さんから電話がかかってきたり、オムツを持ってこられる事がよくあります。

 血尿が出たと思われ、ビックリされるのですが、よく見ると、薄いピンク色をしていて、クレヨンで塗ったようなものがオムツについています。これは、尿酸という物質で、大人では痛風の原因となるものですが、子供、特に赤ちゃんでは体の代謝がさかんで正常でもよくでてきて、まず心配はありません。

 今回は、本当の血尿について少し書きます。

 まず、尿が出てくる順番ですが、両方の背中のあたりにあるそら豆のような形をした腎臓で尿がつくられます。そして、腎臓から管(尿管)がそれぞれ出てきて膀胱に尿が溜まります。膀胱からは尿道と言われる管になりオシッコとして出てきます。腎臓から尿道までどこでも血尿の原因となります。

 血尿の程度によって、肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けられます。肉眼的血尿とは、まさに目で見たでけで、血尿とわかるものです。真っ赤であればすぐにわかりますが、コカコーラのような黒っぽい色をする事もあります。顕微鏡的血尿とは、顕微鏡や試験紙で始めてわかる血尿で、目で見ただけではわかりません。これは、幼児健診や学校健診でみつかる事が多くなります。

 子供の血尿の原因には、腎臓からは腎炎(いろんな種類の腎炎があります)と無症候性血尿などがあります。膀胱からは膀胱炎があります。尿管や尿道からの出血はまれです。大人では、尿路結石や腎臓や膀胱のガンも忘れてはいけません。

 子供では無症候性血尿が最も多くなります。全く症状のない血尿、つまり、健診などで診顕微鏡的血尿がみつかるのですが、いろんな検査をしても血尿以外の異状がない状態です。この場合には、運動制限などなく、しっかり遊んで普通に生活を送っていたらいいのですが、定期的に、尿の検査は忘れてはいけません。

 子供の腎炎では、溶連菌感染症のあとの急性腎炎があります。これは、溶連菌という細菌による扁桃炎の後、1週間から2週間後ぐらいに、突然、肉眼的血尿が出るのです。オシッコの出がわるくなり、顔がむくんできて、血圧も高くなります。急に血圧が高くなって危険な状態になることもありますが、多くの場合には3ヶ月から半年の入院の後には元気になります。

 細菌による膀胱炎の場合には、よっぽどひどくならないと真っ赤な血尿は出ませんが、ウイルスによる膀胱炎のときには、肉眼的血尿になります。2週間近く血尿が出る事がありますが、元気になります。

 血尿の原因にはまだ沢山ありますが、ほとんどが無症候性血尿です。血尿が出たら、まず、病院にいってしっかりと検査を受けて下さい。

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