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NO.33

インフルエンザワクチン

平成10年 11月

 台風10号により、被害をうけられた方々にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧と、ご健康を害されない事を、心よりお祈り申し上げます。真夜中の吉井川の濁流や、翌朝の水の退いた後の惨状を見ると、ありきたりの言葉ですが、あらためて自然の威力を思い知らされました。

 最近の子供の病気で、その怖さを示すのは何であろうかと考えてみました。古くからある病気ですがインフルエンザウイルスが浮かびました。昨年の年末から流行したインフルエンザで、恐らく全国で百数十人の子供たちが亡くなったのではないでしょうか。インフルエンザの脳症になってしまうと、まさに、強烈な台風のように、数日で子供の命を奪ってしまいます。それまで、全く元気な子供が数日で亡くなるのです。

 脳症とは、いろんな原因で、脳がむくんでしまい、ケイレンや意識障害を来す病気です。全く後遺症もなく回復することもありますが、インフルエンザ脳症にかかると、半数近くの子供は亡くなってしまいます。そして、インフルエンザウイルスに効く薬は現在はなく、人間の持っている唯一の方法は、インフルエンザワクチンです。

 インフルエンザワクチンは、数年前までは定期予防接種(行政が接種を奨励して、費用の一部を援助します)でしたが、接種による効果への疑問と副反応との兼合いから、任意接種となっています。自分の意志で、自分の全額費用負担で接種をうけるのです。任意接種になった後は、ワクチンの接種数も生産量も減ってしまい、昨年は、希望者にも接種の出来ない状態でしたが、今年の生産量はかなり多いようです。

 毎年インフルエンザの型が変りますから、予想されるインフルエンザに効くワクチンを毎年、接種しないといけません。有効率は60〜70%といわれています。副反応は数%以下ですが、発熱、局所反応などがあります。また、ワクチンにはゼラチンや卵の成分が入っていますから、ゼラチン、卵にアレルギーのある方は接種が出来ません。接種は乳児から大人まで受ける事が出来ます。そして、約4週間の間隔で2回の接種を受ける事になります。

 インフルエンザワクチンに関しては、医者の間でもいろんな意見があります。効果は全く無いとか、副反応が強すぎるのではとかです。しかし、前回の流行でインフルエンザ脳症で亡くなったり、後遺症で苦しんでいる、子供たちがいるのは確かなのです。特に幼児期(1才〜5才)の子供に多かったようです。そろそろ、インフルエンザの流行する季節です。ワクチン接種を考えてみてください。

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