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NO.5

O-157

平成8年 7月

 ”O−157”は保育園・幼稚園に通っているお子さんをお持ちのお母さんにとってはギクッとする文字でしょう。今や、日本中を駆け巡っています。病原性大腸菌(腸の中には腸での病気を起こさない大腸菌は沢山すんでいます)の一つであり、その背番号が”O−157”です。1982年にアメリカの食中毒事件の時に始めて検出されました。その時はハンバーガーが原因でした。日本では平成2年に埼玉の幼稚園で井戸水で”O−157”による食中毒が発生し園児2人がなくなっていました。今回の事件がきっかけで全国で”O−157”が検出されています。”O−157”の診断は特別な検査が必要であり、今までに”腸炎”と診断されていた中に”O−157”があったのではと思われます。しかし、なぜこれだけ全国で検出されるのか現在のところ真相は不明です。

 ”O−157”が面倒なのは、まれに”溶血性尿毒症症候群”を起こすからです。この病気では名前のとおり、赤血球がこわれ、尿が出なくなり、ひどくなるとケイレンが起こり、さらに死亡することもあります。ひどい血便が続いて急に元気が無くなったら要注意です。血液交換や腎透析が必要となり、子供の急性の病気では最も重症なものです。

 6月、7月は毎年、”腸炎”の流行る時期です。今年も津山でも”腸炎”の子供がかなり出ています。多くはウイルス性ですが、細菌性下痢の原因の1%前後が”病原性大腸菌”であり、半分近くは”キャンピロバクター”という細菌です。ウイルス、細菌とも熱に弱いのですが、冷たいところには強く、死ぬ事なく長く生き続けています。特に”キャンピロバクター”は鶏肉に感染しやすく、冷蔵庫の中で鶏肉から他の食物に移るのではといわれています。 食中毒の予防は、冷蔵庫を信用しないことです。冷蔵庫では細菌、ウイルスは死にません。生ものは避け、しっかり火を通して食べて下さい。そして、病原性大腸菌の腸炎はまれですが、血便が出たときには,便を取って(オムツのときはオムツのまま)病院を受診して下さい。

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